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Ultragenyx社のSetrusumab(UX143)、骨形成不全症における骨形成促進効果をASBMR 2024で発表

Ultragenyx社が、骨形成を促進する新薬Setrusumab(UX143)に関する研究成果を、ASBMR2024年次総会で発表しました。

今回の発表では、進行中の第2/3相Orbit試験における14か月間のデータを含む、7つの抄録が公開されました。

目次

Setrusumab(UX143)とは?

Setrusumabは、骨形成を抑制するたんぱく質であるスクレロスチンを阻害する、ヒト型モノクローナル抗体製剤です。スクレロスチンは骨形成の抑制因子として働き、骨量の維持に重要な役割を果たしています。Setrusumabがスクレロスチンを阻害することにより、骨形成を促進し、骨密度を増加させることが期待されます。

マウスを用いた前臨床試験では、Setrusumabの投与により骨形成が促進され、骨量が正常値まで回復し、骨の強度が増強されたことが確認されています。また、2019年にMereo BioPharma社が成人の骨形成不全症(OI)患者を対象に実施した第2相ASTEROID試験では、Setrusumabが用量依存的かつ統計的に有意な骨密度増加を示しました。

作用機序詳細はコチラ

第2/3相Orbit試験の14か月データの詳細

今回発表される14か月間のデータは、既に6月に発表された第2相Orbit試験の延長データを基にしています。対象は骨形成不全症(OI)の小児および若年成人で、試験の主な評価項目として以下の点が確認されました。

骨密度(Bone Mineral Density, BMD)の増加

Setrusumabを投与された患者では、14か月間で骨密度が著しく増加し、骨の強度が向上しました。

特に腰椎および大腿骨近位部での骨密度増加が確認され、これらの部位は骨折の多発しやすい箇所です。

年次骨折率の減少

Setrusumabを投与された患者群では、治療開始から14か月の時点で年次骨折率が減少しました。

骨折の減少は、骨の強度向上に加え、骨リモデリングのバランス改善によるものと考えられます。

用量設定と安全性

骨の形成に関連するバイオマーカーの変動を基に、最適な用量が選定されました。

治療に伴う重大な有害事象の発生は少なく、全体的な安全性プロファイルも良好でした。

骨形成不全症(OI)とは?

骨形成不全症(OI)は、骨代謝に関連する遺伝性疾患の一群で、COL1A1およびCOL1A2遺伝子の変異により、コラーゲンの産生が減少または異常をきたすことが原因です。これにより、骨の脆弱性が増し、骨折のリスクが高まるとともに、新たな骨形成が不十分となり、骨密度が低下します。

OI患者は、生涯にわたり骨折を繰り返すことが多く、骨の変形、脊柱の異常、痛み、運動機能の低下、さらには低身長などの合併症を抱えることが少なくありません。現在、OIの根本治療は存在せず、60,000人以上の患者が治療の選択肢をもとめています。

Setrusumabの臨床試験結果が示す意義と今後の展望

今回の第2/3相試験は、Setrusumabが既存治療に対して、骨形成を促進する新しい作用機序を持ち、骨粗鬆症やOI患者にとって新たな治療選択肢となる可能性を示しています。特に、骨密度の改善や骨折リスクの低減が確認されたことから、長期的な生活の質の向上が期待されます。

今後もUltragenyx社とMereo BioPharma社は共同でSetrusumabの開発を進め、小児から成人まで幅広い患者層における有効性と安全性をさらに検証していく予定です。

現在も追加の臨床試験が進行中であり、今後の試験結果によっては、Setrusumabが世界初の骨形成不全症に対する治療薬として承認される可能性も見込まれます。

感想

Setrusumab(UX143)は、骨形成不全症患者に対して骨密度を増加させ、骨折リスクを低減する新たな治療法とのことですが、スクレロスチンに対する抗体ということですが、

アムジェンが販売している骨粗鬆症治療薬のロモソズマブとメカニズムは同じなんですよね!

どんな差があって適応症違いの開発をしているのか…興味が尽きないので、後日掘っていきます。

参考情報

https://ir.ultragenyx.com/news-releases/news-release-details/ultragenyx-announces-upcoming-setrusumab-ux143-presentations

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