目次
ポイント
- FDAがAtumelnantにオーファンドラッグ指定
- 世界初のACTH受容体拮抗薬(小分子、経口)
- フェーズ2試験でアンドロステンジオン80%減少など有効性を確認
- フェーズ3(成人)とフェーズ2/3(小児)を2025年後半に開始予定
詳細
米Crinetics社は、先天性副腎過形成(CAH)治療候補薬Atumelnantが、FDAから希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けたと発表しました。
CAHは遺伝子変異により副腎でコルチゾールが作れず、ACTHが過剰に分泌されることで男性ホルモン(アンドロゲン)が過剰に生成される病気です。これにより不妊、多毛、ニキビ、腫瘍などが引き起こされます。従来は副腎皮質ステロイドを高用量で補充しますが、副作用として糖尿病や骨粗鬆症などが問題となっていました。
Atumelnantは副腎のACTH受容体(MC2R)を直接ブロックする経口薬で、ホルモンの異常分泌を抑える新しい仕組みを持っています。フェーズ2試験ではアンドロステンジオンが最大80%減少、月経再開や副腎縮小など臨床症状の改善も確認されました。
今回の指定により、FDA手数料の免除や7年間の販売独占権などの優遇措置が適用されます。今後は成人対象のフェーズ3試験と小児対象のフェーズ2/3試験が開始される予定です。
この薬が承認されれば、これまで高用量ステロイドに頼らざるを得なかったCAH治療に大きな変化をもたらす可能性があります。