目次
ポイント
- Bristol Myers SquibbとSystImmuneが開発中のIza-bren(izalontamab brengitecan)がFDAより画期的治療薬(BTD)指定
- 対象はEGFR遺伝子変異を持つ非小細胞肺がんで、EGFR阻害薬とプラチナ製剤による治療後に進行した患者
- EGFRとHER3の両方を狙う二重標的ADCで、従来治療後に残されていた選択肢の乏しさに対応
詳細
非小細胞肺がん(NSCLC)は肺がんの約8割を占め、特にEGFR遺伝子に変異があるタイプはアジアで最大5割に及ぶとされます。
初期治療でEGFR阻害薬が使われますが、ほとんどの患者で18か月ほどで再発・進行してしまいます。その後はプラチナ製剤による化学療法が中心となりますが、副作用が大きく、効果も限定的でした。
今回FDAから画期的治療薬に指定されたIza-brenは、「EGFR」と「HER3」というがん細胞の増殖に関わる2つの分子を同時に標的とする抗体薬物複合体(ADC)です。
これにより、がん細胞の増殖シグナルを断ち切るとともに、薬剤の有害成分を細胞内に届けて死滅させる仕組みを持っています。
すでに進行中の複数の臨床試験(中国・米国・欧州・日本)で、有効性と安全性の両面で有望な結果が示されており、今回の指定につながりました。
FDAの指定により、承認審査が通常よりも迅速に進められる見込みです。これまで治療の手詰まりが大きかったEGFR変異陽性の進行肺がんに、新しい選択肢が近づきつつあります。