目次
ポイント
- MCO-010(sonpiretigene isteparvovec)がEMAで5つの希少疾患指定を獲得
- 対象は網膜色素変性やStargardt病、黄斑ジストロフィーなど多様な網膜疾患
- FDAではStargardt病に対しRMAT指定を取得(既存のOrphan・Fast Track指定に追加)
- 作用機序:死んだ視細胞の代わりに残存する網膜双極細胞を光に反応できるよう変換
- 1回の眼内注射で遺伝子検査や外科手術も不要
詳細
Nanoscope Therapeuticsは、視細胞が失われる網膜変性疾患に対する治療薬MCO-010が、米国FDAと欧州EMAから相次いで重要な指定を受けたと発表しました。
EMAはMCO-010に対して、症候性・非症候性の桿体優位型や錐体優位型の網膜ジストロフィー、黄斑ジストロフィーにまで広がる5つの希少疾患指定を付与。これは「疾患非依存型」の治療薬としての開発を後押しします。
一方FDAは、Stargardt病に対して「再生医療先端治療(RMAT)」指定を付与。すでにOrphan Drug、Fast Track指定を得ている網膜色素変性症とStargardt病に加え、さらに審査の迅速化が期待されます。
MCO-010は「光遺伝学」を利用し、死んだ視細胞の代わりに残る双極細胞を光に反応させる仕組み。1回の眼内注射で実施でき、遺伝子検査や手術も不要という簡便さも特長です。
現在、網膜色素変性症を対象とした大規模試験「RESTORE」で有効性が示され、Stargardt病のフェーズ3試験も2025年内に開始予定。地理的萎縮(GA)など他の疾患にも臨床開発が拡大しています。
治療法が限られてきた網膜変性疾患に対し、MCO-010は「一度の注射で視力を取り戻す」新しい時代を開く可能性が期待されています。