目次
ポイント
- GNSC-001はIL-1を抑制する初の遺伝子治療候補
- 1回の関節注射で長期的に炎症と軟骨破壊を抑える設計
- FDAのRMAT指定で迅速承認の可能性
詳細
Genascence社は、変形性膝関節症(膝OA)の治療薬候補「GNSC-001」が米食品医薬品局(FDA)からRMAT(再生医療先端治療)指定を受けたと発表しました。
GNSC-001は、炎症の引き金となる「インターロイキン1(IL-1)」を標的にした初の遺伝子治療です。ウイルスベクターを利用して関節内に「IL-1受容体拮抗因子(IL-1Ra)」を産生させ、1回の注射で長期間にわたりIL-1を抑制。これにより痛みや炎症を軽減し、軟骨の破壊を防ぐことを目指しています。
これまでに実施された臨床試験では、
- 第1相試験(9例):安全性を確認
- DONATELLO試験(67例):忍容性とバイオマーカー改善を確認
米国では変形性膝関節症患者は約3,000万人に達し、現在は鎮痛薬やステロイド注射などの対症療法しかありません。病気の進行を抑える治療は存在せず、GNSC-001は疾患修飾型治療の候補として期待されています。
今後の展望
Genascence社はFDAと協議の上、2026年に第2b/3相試験を開始予定です。RMAT指定により、迅速審査や早期承認の可能性があり、治療選択肢の大きな転換点となる見込みです。