Nurix Therapeuticsは、難治性Waldenstromマクログロブリン血症(WM)に対するBTK分解薬「NX-5948」がFDAよりFast Track指定を受けたと発表しました。この指定は、BTK阻害薬を含む2回以上の治療後に再発・難治となった成人患者を対象としています。
目次
作用機序
NX-5948は、Bruton型チロシンキナーゼ(BTK)を標的とした「分子分解薬」です。従来のBTK阻害薬はBTKの活性を抑制するのに対し、NX-5948はBTKを直接分解することで腫瘍細胞の増殖を抑えます。
特にE3リガーゼを介してBTKを選択的に標的とし、細胞内で不要なタンパク質として分解することで治療効果を発揮します。このアプローチにより、既存のBTK阻害薬に耐性を示す腫瘍にも有効である可能性があります。
要は標的タンパク質分解誘導薬ですね!コレ
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主なポイント
- 指定の背景:第1相試験で示された安全性と有効性のデータをもとに指定を取得。
- 試験継続中:第1相b試験の拡大コホートで患者を募集し、2025年にさらなるデータを公表予定。
- 疾患概要:WMは稀少な非ホジキンリンパ腫であり、年間約1,200~1,900人が発症。既存の治療法では限界があり、新しい治療選択肢が求められています。
今後の展望
NX-5948は、従来のBTK阻害薬に耐性を示すB細胞腫瘍に対して高い活性を持つことが確認されており、新たな治療選択肢として期待されています。
また、NX-5948は脳内への浸透性も高く、中枢神経系への浸潤を伴う腫瘍に対する効果も見込まれています。