AstraZenecaとテキサス大学の研究チームが、ePsCas9(Engineered PsCas9)を用いた新しいゲノム編集技術を開発しました。
このePsCas9は、従来のCRISPR-Cas9ツールよりも高い編集効率と安全性を兼ね備えています。研究では、ePsCas9を脂質ナノ粒子(LNP)によりマウスの肝臓に送達し、高コレステロール血症治療のターゲットであるPcsk9遺伝子の編集を実現しました。
目次
ePsCas9の特徴
- 高効率編集:ePsCas9は、従来のSpCas9と比較して最大20倍の活性を実現。
- 高精度:編集の精度が高く、オフターゲット効果が少ないため、不要な遺伝子変異のリスクが低減。
- 低転座率:大規模な染色体転座を抑え、安全性が高い。
- 応用の広さ:他のCas9酵素にも応用可能な設計原理を持ち、医療分野での応用拡大が期待されます。
マウス肝臓での応用実験
研究では、ePsCas9を脂質ナノ粒子(LNP)に搭載してマウスの肝臓へ送達し、高コレステロール血症治療のターゲットであるPcsk9遺伝子を編集。
これにより、肝臓での遺伝子編集率が大幅に向上し、血中のPcsk9レベルが低下することが確認されました。
医療への期待
この新しいツールは、非ウイルス性の遺伝子治療において安全で効率的なアプローチを提供し、遺伝性疾患やその他の病気に対する治療に大きな可能性を秘めています。
LNPを用いた非ウイルスベースの遺伝子治療に新たな可能性とゲノム編集技術の医療応用の未来を感じさせてくれますね!。
参考情報
- NatureCommunications volume 15,Article number: 9173 (2024):2024/11/07アクセス
- Engineering the future of gene editing with ePsCas9:2024/11/07アクセス