Capsida Biotherapeuticsが開発中の遺伝子治療薬「CAP-002」が、STXBP1関連発達性てんかん性脳症の適応症で、米国FDAから希少疾病用医薬品(ODD)に指定されました。
指定により、CAP-002は早期の臨床開発が期待され、2025年上半期に臨床試験が開始される予定です。
目次
STXBP1関連発達性てんかん性脳症とは?
STXBP1関連発達性てんかん性脳症は、STXBP1遺伝子の変異が原因で、脳の神経伝達が阻害されることで発症する重度の神経疾患です。この疾患は、発達の遅れ、知的障害、治療困難なてんかん発作などが特徴であり、日常生活に深刻な影響を及ぼします。症例は非常に少ないものの、患者やその家族にとって大きな負担となるため、早急な治療法の開発が求められています。
STXBP1脳症の主な症状
- 治療抵抗性のてんかん発作:通常の抗てんかん薬では効果が得られず、持続的な発作が続きます。
- 重度の発達遅延・知的障害:認知機能や運動機能の発達に障害が現れます。
- 突然死リスク(SUDEP):予期せぬ突然死のリスクが高く、家族にとっても非常に大きな懸念です。
CAP-002の作用機序:脳内でのSTXBP1補充による遺伝子治療
CAP-002は、STXBP1タンパク質の欠乏を補うために、遺伝子を脳内のニューロンに直接届ける新しい遺伝子治療法です。以下がその作用メカニズムです。
- CAP-002は、STXBP1タンパク質を生成するための遺伝子を搭載しており、静脈内投与によって脳全体のニューロンに行き渡ります。この遺伝子がニューロンに到達することで、STXBP1タンパク質が補充され、シナプスでの神経伝達が正常化されます。
- Capsida社は、肝臓などの非ターゲット臓器への影響を抑え、脳内に高効率で遺伝子を届ける独自のカプシドを開発しました。これにより、STXBP1タンパク質が不足している脳内のニューロンに集中して遺伝子が届けられるため、副作用を最小限に抑えつつ、より高い治療効果が期待されています。
Capsida BiotherapeuticsのCEO、ピーター・アナスタシウ氏は「CAP-002が前臨床試験で示したポジティブな結果を基に、臨床開発を早期に進めていきたい」と述べており、同社の医学責任者スワティ・トレ医師も「CAP-002が患者に希望をもたらす革新的な治療法になり得る」と強調しています。
CAP-002はSTXBP1関連脳症の治療法としては初の遺伝子治療となりえるポジションにおりますので、注目ですね!