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BPGbio、難治性の小児皮膚疾患「表皮水疱症」向け治療薬でFDA小児希少疾患指定を取得

BPGbioは、FDAより新薬候補「BPM31510T」に対して「小児希少疾患指定」を取得したと発表しました。BPM31510Tは、稀少な遺伝性疾患「表皮水疱症(Epidermolysis Bullosa, EB)」の治療を目指した局所治療薬で、今回の指定を受け、将来的に優先審査券の付与対象となります。

同社はこの薬剤の開発において、ミトコンドリアに注目した「NAiインタロゲーティブバイオロジープラットフォーム」を駆使しており、EB患者の傷の治癒を促進することが期待されています。

目次

表皮水疱症(EB)とは?

表皮水疱症は、皮膚が非常に脆弱で、わずかな摩擦でも水疱や傷ができやすい遺伝性の皮膚疾患です。米国ではおよそ20,000人に1人の割合で発症するとされていますが、特に小児患者では慢性的な傷、痛み、さらにはがん(特に扁平上皮癌)のリスクも高まります。EBの治療法は限られており、多くの患者が日常生活で痛みや合併症に苦しんでいます。

BPM31510Tの特徴と期待される効果

BPM31510Tは、BPGbioが開発中の局所治療薬で、特に傷の治癒を促進するためにミトコンドリアに働きかけます。この薬剤は炎症抑制、細胞増殖、組織リモデリングといった創傷治癒に関わる経路に作用することで、慢性的な傷や水疱を抱えるEB患者の皮膚をサポートする設計がなされています。これにより、BPM31510Tは難治性のEB患者に対して新たな治療の希望を提供する可能性があります。

作用機序詳細はコチラ

BPM31510Tの臨床開発の進展

BPM31510Tは第1相試験を既に完了しており、その安全性と忍容性が確認されています。特にEB患者が日常的に使いやすい局所製剤としての特性を持っているため、臨床現場での実用性にも期待が集まっています。今後は、EBの大手患者支援団体「DEBRA of America」と協力しながら、2025年に開始予定の第2/3相試験に向けた準備が進められています。

希少疾患指定と小児希少疾患指定の取得

FDAの「小児希少疾患指定(Rare Pediatric Disease Designation)」は、小児の希少疾患で未治療の医療ニーズがある場合に付与されるもので、指定を受けた薬剤が承認されれば、BPGbioは優先審査券の対象となります。BPM31510はすでに「希少疾患指定(Orphan Drug Designation)」も取得しており、EBの他、グリオブラストーマ(GBM)や膵臓がんなど、複数の適応症に対する臨床開発が進行中です。

BPM31510の多様な治療適応

BPGbioのBPM31510シリーズは、局所製剤(BPM31510T)、静脈注射製剤(BPM31510IV)、経口製剤(BPM31510 Oral)と複数のフォーミュレーションがあり、それぞれ異なる疾患への適応を目指しています。

  • BPM31510T:表皮水疱症の慢性創傷治療(小児希少疾患指定、希少疾患指定)
  • BPM31510IV:グリオブラストーマ(GBM)や膵臓がん、原発性CoQ10欠乏症(小児希少疾患指定、希少疾患指定)
  • BPM31510 Oral:高齢者の筋肉減少症(サルコペニア)治療を目指した第2相試験を計画中

BPGbioの革新的なアプローチと今後の展望

BPGbioは、「NAiインタロゲーティブバイオロジープラットフォーム」というAIを駆使した独自の研究基盤により、ミトコンドリア機能や蛋白質の恒常性に注目した薬剤開発を行っています。同社の技術は、400件以上の特許と豊富な臨床データに支えられており、特に難治性のがんや希少疾患の治療において期待が寄せられています。

BPGbioのNiven R. Narain CEOは、「EBやCoQ10欠乏症のように、ミトコンドリアの機能不全が根底にある疾患への治療法の開発を進めることにより、患者に新たな治療の可能性を提供したい」と述べており、引き続き様々な疾患への応用が期待されます。

参考情報

BPGbio Receives FDA Rare Pediatric Disease Designation for its Investigational Treatment for Epidermolysis Bullosa:2024/11/01 アクセス

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