Abeona Therapeutics社は、希少疾患である再発性劣性型表皮水疱症(RDEB)に対する先進的な遺伝子治療薬「prademagene zamikeracel」(pz-cel)の生物製剤承認申請(BLA)を米国食品医薬品局(FDA)に再提出しました。pz-celは、患者自身の皮膚細胞に正常なCOL7A1遺伝子を組み込み、脆弱な皮膚の強化と治癒を促進するオーダーメイドの遺伝子治療薬です。
遺伝子治療薬pz-celの再承認申請について
Abeona Therapeuticsは、2024年4月にFDAからの完全回答通知(CRL)を受け、化学製造管理(CMC)に関する追加のデータとFDAの指導内容を反映して今回の再提出を行いました。8月にFDAとType A会議を行い、再提出の内容についても正式な確認が完了しています。
CRLの指摘事項
完全回答通知(CRL)では、pz-celの有効性や安全性に関する新しいデータ提供の要求はなく、追加臨床試験も不要とされています。必要とされたのは、主に製造工程や品質管理に関連する情報のみであり、これをクリアすることでpz-celの最終承認が期待されています。
pz-celの作用機序と治療の流れ
pz-celは、COL7A1遺伝子が欠損した患者の皮膚細胞に、正常な遺伝子を導入することで治療を実現します。この遺伝子の修正により、皮膚の表皮と真皮を接着する役割を持つ「コラーゲンVII」タンパク質の産生を促進。これにより、皮膚の強度が改善し、痛みを伴う水疱や慢性的な傷を軽減します。
- 患者自身の皮膚細胞を使用:pz-celは、患者の皮膚細胞を採取し、遺伝子を修正してコラーゲンVIIを正常に発現する「ケラチノサイトシート」に成長させます。
- 単回の外科的施術:生成したシートを傷口に移植することで治療を完了します。
作用機序詳細はコチラ
pz-celの臨床試験データ
pz-celは、第3相「VIITAL™試験」(NCT04227106)および第1/2a試験(NCT01263379)に基づく有効性と安全性データによってFDAに提出されています。VIITAL™試験では、pz-celの適用により皮膚の回復効果が確認されており、患者の生活の質向上が期待されています。
FDAは再提出後14日以内に受理の判断を行い、受理されれば最大6か月の審査期間が設定されます。
Abeona Therapeuticsの展望
Abeona Therapeutics社は、pz-celの承認を目指し、さらなる製造体制の整備を進めています。また、pz-celはFDAから「再生医療先端治療(RMAT)」「画期的治療」「希少疾病用医薬品」「小児希少疾患」の各指定を受けており、米国内での早期承認を可能にする優遇措置の対象となっています。Abeona社の最新の遺伝子治療技術に基づくこの治療法が、RDEB患者に対してもたらす新たな可能性に期待が寄せられています。
再発性劣性型表皮水疱症(RDEB)とは
RDEBは、COL7A1遺伝子の変異により発症する希少な遺伝性皮膚疾患で、皮膚が非常に脆く、水疱や傷ができやすい特徴があります。多くの患者が慢性的な痛みを伴い、感染や皮膚がんのリスクが高いことが知られています。
参考情報
Abeona Therapeutics® Completes Pz-cel Biologics License Application Resubmission to U.S. Food and Drug Administration:2024/11/01アクセス