中外製薬株式会社は、抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体「テセントリク」(一般名:アテゾリズマブ)について、日本で希少がんとされる再発・難治性の節外性NK/T細胞リンパ腫・鼻型(ENKL)に対する適応拡大を厚生労働省に申請しました。
この申請は、国立がん研究センター中央病院が主導したATTACK試験の有望な成績に基づいています。
目次
節外性NK/T細胞リンパ腫・鼻型(ENKL)の現状と課題
ENKLは主に鼻に発症する悪性リンパ腫で、進行後の再発率が高く、特に再発または難治性のケースでは予後が不良とされています。標準治療がないため、新たな治療法が求められており、テセントリクの適応拡大は患者にとって画期的な治療選択肢となる可能性があります。
テセントリクの有効性と安全性
今回の承認申請に使われたATTACK試験では、テセントリクを使用した患者13例中7例でがん縮小などの有効性が確認され、奏効割合は53.8%(95%信頼区間:25.1~80.8%)に達しました。
また、安全性については既知の副作用プロファイルと一致しており、新たな重篤な副作用は認められませんでした。
テセントリクの作用機序と期待
テセントリクは、がん細胞が発現するPD-L1に結合し、免疫細胞であるT細胞の働きを抑制する信号をブロックすることで、T細胞が再び腫瘍を攻撃するよう促進します。2018年に日本で承認されて以降、非小細胞肺がん、乳がん、肝細胞がんなどで利用されています。
中外製薬の今後の取り組みに注目が集まります。