進行性腎細胞がん(RCC)の治療に向けて開発が進められているAllogene Therapeutics社のCAR T細胞療法「ALLO-316」が、米食品医薬品局(FDA)から再生医療先端治療(RMAT)指定を取得しました。
目次
試験データが示す治療効果
ALLO-316のRMAT指定の根拠となったのは、第1相TRAVERSE試験の結果です。主に進行または転移性の進行性腎細胞がん患者を対象に実施されたこの試験では、以下の評価が行われました。
- 対象患者:免疫チェックポイント阻害薬やVEGF標的治療が効果を示さなかったCD70陽性の進行・転移性腎細胞がん患者
- 治療方法:ALLO-316の単回投与
評価項目
- 安全性:投与に関連する重大な副作用の発生率
- 忍容性:治療を受けた患者が副作用を耐えられるか
- 効果:腫瘍縮小率、進行抑制効果の持続期間(PFS)など
TRAVERSE試験の初期データは2023年の米国癌研究会議(AACR)にて報告されており、ALLO-316が従来治療で効果が乏しかった進行性腎細胞がん患者において、腫瘍の縮小や進行抑制の可能性を示しました。今後のデータにより、より具体的な有効性や治療効果が明らかにされると期待されています。
RMAT指定による開発促進のメリット
RMAT指定は、進行が早く治療が難しい疾患に対し、新たな治療法の開発を加速させるための制度です。今回の指定により、Allogene社はFDAとの協議を早期に行い、開発プロセスを効率化できる見込みです。
また、ALLO-316はすでに2022年にファストトラック指定も取得しており、今回のRMAT指定はALLO-316の市場投入をさらに加速させる要因となります。
今後の展望
Allogene Therapeuticsは11月に行われる米国免疫治療学会(SITC)年次総会にて、TRAVERSE試験の更新データを発表予定です。
今回のRMAT指定により、ALLO-316は進行性腎細胞がん患者にとって新たな希望となる治療法としての期待が高まっています。