米国NCCNガイドラインが、ホルモン受容体陽性/ HER2陰性(HR+/HER2-)の早期乳がん(EBC)患者に対し、Kisqali(リボシクリブ)をアロマターゼ阻害剤(AI)と併用する補助療法として最優先推奨薬に認定しました。
今回の認定は、リンパ節転移陽性患者や、腫瘍径が大きいなど高リスクの転移陰性患者において、Kisqaliが再発リスク抑制に寄与する点が評価されました。
目次
Kisqaliが最優先推奨薬に認定された理由
今回のNCCNガイドラインでの認定は、NATALEE試験のデータに基づいています。NATALEE試験は、KisqaliとAIの併用療法が幅広い早期乳がん患者において、治療期間終了後も再発リスクを長期に抑制することを示しました。
Kisqaliはリンパ節転移陽性患者のみならず、腫瘍径5cm以上、または腫瘍径2-5cmで高Ki-67値を持つ高リスク患者にも適用されることが認定されました。
NATALEE試験の主な結果
- 対象患者:HR+/HER2-のEBC患者を対象に実施され、特にリンパ節転移の有無や腫瘍のリスク要因によって層別化。
- 治療法:Kisqali 400mgを3年間、AIと併用する治療法が適用されました。
- 試験結果:Kisqali併用群では、治療終了後も再発リスクの抑制効果が確認され、治療効果が長期間持続することが明らかに。
FDA承認およびCHMP承認でさらに拡がる適用範囲
NATALEE試験の結果を受け、FDAはKisqaliをEBC患者への補助療法として承認し、欧州医薬品庁のCHMPも肯定的な見解を示しています。従来より、CDK4/6阻害薬を用いた補助療法の対象が2倍に拡大する見込みです。
従来は特定の患者層に限られていたCDK4/6阻害薬が、より広範な早期乳がん患者に利用可能となり、臨床現場での選択肢が増えることが期待されます。
Kisqaliの作用機序と他の治療法との差別化
KisqaliはCDK4/6阻害薬として、細胞分裂に関与するCDK4/6を選択的に阻害します。これにより、腫瘍細胞の増殖を抑制し、再発リスクを低減します。
他のCDK4/6阻害薬との比較において、Kisqaliは転移性乳がん(MBC)の治療でも最優先推奨薬とされており、内分泌療法との併用で優れた生存率改善効果が示されています。