中外製薬が開発中のSAIL66が、がん免疫療法分野で注目される学術誌「Journal for ImmunoTherapy of Cancer」に掲載されました。
SAIL66, a next generation CLDN6-targeting T-cell engager, demonstrates potent antitumor efficacy thr…
Background Ovarian cancer remains a formidable challenge in oncology, necessitating innovative therapeutic approaches. Claudin-6 (CLDN6), a member of the tight …
この薬剤は、CLDN6陽性固形がんを対象にした次世代T細胞エンゲージャーで、従来の治療法と比べて高い抗腫瘍効果を示す可能性が示唆されています。現在、第I相臨床試験が進行中で、さらなる治療効果が期待されています。
目次
作用機序概要
SAIL66は、次世代の三重特異性T細胞エンゲージャー(TCE)で、がん細胞に特異的に発現するCLDN6、およびT細胞のCD3とCD137に結合します。この複合的な結合が、がん免疫療法における強力な抗腫瘍効果を引き出すメカニズムです。
- CLDN6結合
CLDN6は、健康な成人組織ではほとんど発現せず、一部のがんでのみ異常に発現します。SAIL66は、このCLDN6に高い選択性を持ち、がん細胞への結合後にT細胞を活性化します。 - CD3シグナル
CD3に結合することで、T細胞の初期活性化を引き起こし、がん細胞に対する免疫攻撃を開始します。 - CD137共刺激
SAIL66はCD137にも結合し、T細胞の活性化を維持しつつ、T細胞の機能を強化します。この共刺激シグナルにより、T細胞が持続的にがん細胞を攻撃できるようになります。CD137シグナルは、T細胞の疲弊を防ぎ、免疫反応の持続性と効率を高める役割を果たします。
従来のTCEとの違い
従来のTCEはCD3シグナルのみを活性化しますが、これではT細胞の疲弊が起こりやすく、効果が長続きしません。SAIL66は、CD3シグナルとCD137共刺激シグナルを同時に活性化することで、より強力で持続的な抗腫瘍効果を発揮します。
こSAIL66はCLDN6陽性がんに対する選択性の高いターゲティングと、T細胞の強力な活性化を実現することが、その大きな特徴です。
参考情報
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20241024170000_1438.html?year=2024&category=