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【Annexon】ANX007、乾性加齢黄斑変性症に伴う地図萎縮症治療薬として有効性と安全性を確認

Annexon社は、乾性加齢黄斑変性症(AMD)に伴う地図状萎縮(GA)治療薬として開発中のANX007に関する第2相ARCHER試験の詳細な結果を発表しました。

試験では、ANX007が視力と視細胞の保護に有効であり、安全性においても良好な結果が得られました。このデータは、米国眼科学会(AAO)2024年年次総会で発表されました。

目次

試験デザイン

ARCHER試験は、多施設で実施されたランダム化、二重盲検、シャム対照の第2相試験です。

対象は地図状萎縮を伴う乾性AMD患者で、進行の少ない患者と進行した患者の双方が含まれました。参加者は、ANX007を毎月投与される群とシャム治療(偽治療)を受ける群にランダムに割り当てられ、主要評価項目として、視力保護および視細胞の維持効果が評価されました。

注釈:シャム対照:プラセボとは異なり、 治療手順を模倣した偽の手技や処置を行う方法です。例えば、実際の注射のように見せかけて薬剤を注射しないなど、患者が治療を受けていると思い込むような処置を行います。プラセボを針で眼内注射する侵襲性を避けることができます。

有効性の結果

ANX007は、視力と中心窩の視細胞を保護する有効性を示しました。

  • 視力保護: ANX007群では、進行の少ない患者において、3行(15文字)以上の視力喪失を回避した患者が100%(0/56)でした。一方、シャム群では17%(10/59)の患者が3行以上の視力を喪失しました(p=0.0013)。全体の患者では、ANX007群の6%(5/89)が視力を喪失したのに対し、シャム群では21%(19/89)でした(p=0.0021)。
  • 視細胞保護: ANX007は、視細胞を測定する視細胞エリプソイドゾーン(EZ)の喪失を抑制しました。進行が少ない患者では、ANX007群でEZの喪失がシャム群に比べて61%減少しました(p=0.0575)。

安全性の結果

ANX007は全体的に良好な安全性プロファイルを示しました。

  • 副作用: 重篤な治療関連有害事象は報告されておらず、シャム群との比較でも、有害事象の発生率に大きな差は見られませんでした。
  • 網膜血管炎や脈絡膜新生血管(CNV)のリスク: ANX007投与群では、CNVの発生率がシャム群と同等であり、網膜血管炎の発症は確認されませんでした。

作用機序

ANX007は、古典的補体経路を制御するC1qを局所的に阻害することで、神経変性や炎症を抑制します。C1qは視細胞のシナプスに結合し、炎症反応を引き起こして神経細胞の損傷を進行させますが、ANX007はこれを阻止することで視細胞を保護し、視力の維持に寄与します。

今後の展望

今回の有効性と安全性のデータに基づき、Annexon社は2026年下半期に第3相「ARCHER II」試験の結果を発表する予定です。この試験は、さらなる視力保護効果の確認と、ANX007がGA患者に対する新たな治療オプションとして確立されることを目的としています。


参考情報

https://ir.annexonbio.com/news-releases/news-release-details/annexon-presents-phase-2-vision-preservation-data-anx007-dry-amd

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