Alnylam社は、心筋症を伴うATTRアミロイドーシス(ATTR-CM)の治療薬として開発中のRNA干渉(RNAi)療法「vutrisiran」に関する規制申請を欧州医薬品庁(EMA)に提出しました。
今回の申請は、HELIOS-B試験におけるポジティブな結果に基づいています。この第3相試験は、vutrisiranがプラセボと比較して全死亡率および心血管イベントリスクを有意に低減したことを示しており、ATTR-CM患者にとって有望な治療選択肢となる可能性が示されました。
目次
HELIOS-B試験の結果概要
- 全死亡率および心血管イベントのリスク:vutrisiranはプラセボと比較してこれらのリスクを大幅に低減(統計的有意差あり)。
- 機能的能力(6分間歩行試験):vutrisiran群で改善が確認されました。
- 生活の質(カンザスシティ心筋症質問票による評価):vutrisiran群での改善が確認されました。
- 心不全の症状と重症度(NYHA分類):vutrisiran群での改善が見られました。
安全性プロファイル
HELIOS-B試験におけるvutrisiranの安全性プロファイルは、既に承認されているhATTRアミロイドーシス患者に対する治療と同様であり、重篤な有害事象の発生率はプラセボ群と同等でした。また、治療中止や重篤な副作用に至るケースも少なかったと報告されています。
背景
ATTRアミロイドーシスは、ミスフォールドしたトランスサイレチン(TTR)タンパク質が体内に蓄積し、主に神経や心臓、消化管に影響を及ぼす疾患です。特に心筋症(ATTR-CM)は進行が速く、心不全の原因となり得る深刻な病態です。
vutrisiranは、このTTRタンパク質をRNAi技術によって効果的に抑制し、病気の進行を遅らせることが期待されています。
Alnylam社は今後、米国食品医薬品局(FDA)にも同様の申請を行い、他国でも規制当局との協力を進めていく予定です。
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