アストラゼネカのCalquence(アカラブルチニブ)が、未治療のマントル細胞リンパ腫(MCL)患者向けの治療薬として米国FDAより優先審査に指定されました。
この指定は、第3相ECHO試験の結果に基づいており、標準治療と比較して、疾患進行や死亡のリスクを27%減少させたことが確認されています(HR: 0.73, 95% CI: 0.57-0.94, p=0.016)。
目次
ECHO試験データ詳細
項目 | Calquence併用群 | 標準治療群(ベンダムスチン+リツキシマブ) | 結果 |
---|---|---|---|
無増悪生存期間(PFS)中央値 | 66.4ヵ月 | 49.6ヵ月 | – |
無増悪生存期間(PFS)ハザード比(HR) | HR: 0.73 | 95% CI: 0.57-0.94, p=0.016 | リスク27%減少 |
全生存期間(OS)ハザード比(HR) | HR: 0.86 | 95% CI: 0.65-1.13, p=0.2743 | 統計的有意差なし(良好な傾向) |
COVID-19死亡例を除いた無増悪生存期間(PFS)ハザード比(HR) | HR: 0.64 | 95% CI: 0.48-0.84, p=0.0017 | リスク36%減少 |
COVID-19死亡例を除いた全生存期間(OS)ハザード比(HR) | HR: 0.75 | 95% CI: 0.53-1.04, p=0.0797 | 統計的有意差なし(良好な傾向) |
全生存期間(OS)における追加情報 | – | – | SoC群では多くの患者が後続治療としてBTK阻害薬を使用したため、OSに影響を及ぼした可能性あり |
試験結果の要点
- 無増悪生存期間(PFS)ではCalquence併用群が標準治療群よりも有意にリスクを減少。
- 全生存期間(OS)では有意差は確認されなかったものの、良好な傾向を示した。
- COVID-19の影響を除いた解析でも、リスク減少効果はさらに高まった(36%減少)。
今回の審査は、複数の国際パートナーと同時審査を行う「Project Orbis」枠組み内で進められており、FDAによる承認判断は2025年第1四半期に行われる予定です。
CalquenceはB細胞の増殖を抑えるBruton’s tyrosine kinase(BTK)阻害薬であり、既存治療に効果が限定的な血液がん患者に新たな治療選択肢を提供する可能性が期待されています。今後の規制当局の判断に注目ですね。