Boehringer Ingelheimは、特発性肺線維症(IPF)患者を対象にした第3相FIBRONEER™-IPF試験において、新薬候補「nerandomilast」が主要評価項目を達成したと発表しました。
この試験により、IPF患者の肺機能改善効果が示され、今後の治療の新たな選択肢として期待されています。
目次
試験結果と概要
FIBRONEER™-IPF試験は、IPFにおける最大規模の臨床試験として、世界30カ国以上の330施設で実施され、1,177人のIPF患者が参加しました。本試験での主要評価項目は、治療52週後の肺活量(FVC)変化量で、プラセボ群に対して有意な改善が確認されました。
- 治療期間:52週
- 治療群:9mgまたは18mgの「nerandomilast」を1日2回投与
- 主要評価項目:ベースラインからのFVC(肺活量)絶対変化量
- 副次評価項目:急性IPF悪化、呼吸器関連の入院、または死亡の初回発生までの時間
「nerandomilast」とは?治療効果の期待
「nerandomilast」は、特発性肺線維症(IPF)および進行性肺線維症(PPF)治療のために開発中の経口PDE4B阻害薬です。
本剤はまだ未承認の薬剤であり、安全性と有効性が確立されていませんが、IPF治療における新たな治療法として期待されています。なお、FDAは2022年にnerandomilastに対しIPF治療の「ブレークスルーセラピー指定」を付与しています。
今後の展望と承認申請
本試験結果を踏まえ、Boehringer Ingelheimは2025年上半期に本試験の詳細データを発表し、FDAおよび各国の医療当局へ承認申請を進める予定です。
IPFは世界で約300万人が患っているとされ、高齢者を中心に広がる進行性の難病であるため、今回の新薬は治療選択肢の拡大につながる可能性があります。