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Ponsegromab、第2相試験でがん悪液質において有望な結果を示す

Pfizerは、がん悪液質患者を対象としたPonsegromabの第2相試験で、体重増加や筋肉量の改善を含む有望な結果を発表しました。

Ponsegromabは、成長分化因子-15(GDF-15)を標的とするモノクローナル抗体で、悪液質治療の新たな選択肢となる可能性があります。

目次

作用機序

Ponsegromabは、GDF-15(成長分化因子-15)という特定のタンパク質を標的としています。GDF-15はがん患者で高濃度に分泌されることが多く、食欲減退や筋肉の消耗といった悪液質の症状に関連しています。

GDF-15は脳の摂食中枢に作用し、食欲を抑制することで体重減少を引き起こします。Ponsegromabは、このGDF-15に結合し、その作用をブロックすることで、食欲を改善し、体重や筋肉量の回復を促すと考えられています。これにより、がん患者の体力維持や治療の耐性の向上が期待されます。

試験概要

  • 対象者:非小細胞肺がん、膵臓がん、大腸がんの患者187名が参加
  • 試験期間:12週間
  • 治療方法:Ponsegromab(100mg、200mg、400mg)またはプラセボを4週間ごとに皮下注射
  • 目的:体重の変化が主要評価項目

試験結果

試験の概要は以下のとおりです。

体重増加

Ponsegromab投与群では、すべての用量で体重増加が確認され、特に400mg群では5.61%(95%信頼区間[CI]: 2.56-8.67%)の増加が見られました。100mg群では2.02%(95% CI: -0.97~5.01%)、200mg群では3.48%(95% CI: 0.54~6.42%)と、プラセボ群と比較して有意な改善が認められました。

食欲と症状の改善

Ponsegromab 400mg群では、食欲や悪液質症状の改善が顕著で、身体活動量や腰部骨格筋指数(LSMI)においても改善が確認されました。これにより、筋肉量が回復し、患者の生活の質(QOL)が向上する可能性が示されました。

安全性

Ponsegromabは全用量で良好な安全性プロファイルを示し、重篤な副作用の発生は低率でした。治療関連の有害事象は、プラセボ群で8.9%、Ponsegromab群で7.7%と、非常に忍容性が高いことが確認されました。

今後の展望

この第2相試験の結果を基に、Pfizerは2025年に承認申請に向けた後期臨床試験を開始する予定です。Ponsegromabは、がん悪液質以外にも心不全患者を対象とした研究が進行中で、悪液質や体重管理の分野で新たな治療選択肢としての期待されています。

がん悪液質は、体重減少や筋肉量減少を引き起こし、治療の耐性を低下させる深刻な病態です。世界中で約900万人の患者が影響を受けていますが、これまでに承認された治療法はありません。

参考情報

https://www.pfizer.com/news/press-release/press-release-detail/pfizer-presents-positive-data-phase-2-study-ponsegromab

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