2024年9月14日、メルク社は、複数のがん治療における抗PD-1療法「KEYTRUDA(ペムブロリズマブ)」を使用した新たな臨床試験結果を発表しました。今回は、胃がん、子宮頸がん、肝細胞がんに対するKEYTRUDA併用療法の有効性が確認された3つの試験結果を紹介します。
目次
HER2陽性進行胃がんに対するKEYTRUDA併用療法
KEYNOTE-811試験では、KEYTRUDAとトラスツズマブ、化学療法を併用した治療が、HER2陽性の局所進行性切除不能または転移性胃がん・胃食道接合部(GEJ)腺がん患者において全生存期間(OS)を有意に改善しました。
試験デザイン
- 試験フェーズ:ランダム化二重盲検第3相試験
- 参加者数:698人
- 治療群:KEYTRUDA(200 mgを3週間ごとに投与)+トラスツズマブ+化学療法
- 対照群:プラセボ+トラスツズマブ+化学療法
- 主要評価項目:無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)
- 副次評価項目:客観的奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性
結果
- フォローアップ期間の中央値:50.2か月(範囲31.1-64.4)
- OSの結果:死亡リスクを20%低減(HR=0.80、95%CI:0.67-0.94、p=0.0040)
- OS中央値:KEYTRUDA併用群で20.0か月(95%CI:17.8-22.1)、対照群で16.8か月(95%CI:14.9-18.7)
- PD-L1陽性患者(CPS≥1)の結果:死亡リスクを21%低減(HR=0.79、95%CI:0.66-0.95)
- PD-L1陽性患者のOS中央値:20.1か月(95%CI:17.9-22.9)対15.7か月(95%CI:13.5-18.5)
安全性
- 治療関連有害事象(TRAEs):KEYTRUDA併用群で58%、対照群で50%がグレード3-4のTRAEsを経験
高リスク局所進行子宮頸がんに対するKEYTRUDA併用療法
KEYNOTE-A18試験では、KEYTRUDAと化学放射線療法(CRT)を併用することで、新たに診断された高リスク局所進行子宮頸がん患者の死亡リスクを33%低減しました。
試験デザイン
- 試験フェーズ:ランダム化二重盲検第3相試験
- 参加者数:1,060人
- 治療群:KEYTRUDA(200 mgを3週間ごとに5サイクル)+シスプラチン(40 mg/m2)+放射線療法
- 対照群:プラセボ+シスプラチン+放射線療法
- 主要評価項目:無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)
- 副次評価項目:完全奏効率(CRR)、客観的奏効率(ORR)、安全性
結果
- フォローアップ期間の中央値:29.9か月(範囲12.8-43.0)
- OSの結果:死亡リスクを33%低減(HR=0.67、95%CI:0.50-0.90、p=0.0040)
- 36か月時点のOS率:KEYTRUDA併用群で82.6%、対照群で74.8%
安全性
- グレード3以上の治療関連有害事象(TRAEs):KEYTRUDA併用群で69.1%、対照群で61.3%が経験
Merck’s KEYTRUDA® (pembrolizumab) Plus Chemoradiotherapy (CRT) Reduced Risk of Death by 33% Versus C...
KEYNOTE-A18 is the first Phase 3 study of an immunotherapy in combination with CRT to demonstrate a statistically significant and clinically meaningful improvem...
切除不能な非転移性肝細胞がんに対するKEYTRUDAとLENVIMA併用療法
LEAP-012試験では、KEYTRUDAとLENVIMA、経動脈化学塞栓療法(TACE)の併用が、TACE単独に比べ無増悪生存期間(PFS)を有意に延長しました。
試験デザイン
- 試験フェーズ:ランダム化二重盲検第3相試験
- 参加者数:480人
- 治療群:KEYTRUDA(400 mgを6週間ごとに投与)+LENVIMA+TACE
- 対照群:プラセボ+TACE
- 主要評価項目:無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)
- 副次評価項目:客観的奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、疾患制御率(DCR)、安全性
結果
- フォローアップ期間の中央値:25.6か月
- PFSの結果:KEYTRUDA併用群は疾患進行または死亡リスクを34%低減(HR=0.66、95%CI:0.51-0.84、p=0.0002)
- PFS中央値:KEYTRUDA併用群で14.6か月(95%CI:12.6-16.7)、対照群で10.0か月(95%CI:8.1-12.2)
安全性
- グレード3-4のTRAEs:KEYTRUDA併用群で71.3%、対照群で31.1%が経験
KEYTRUDA® (pembrolizumab) Plus LENVIMA® (lenvatinib) in Combination With Transarterial Chemoemboliza...
In the Phase 3 LEAP-012 trial, KEYTRUDA plus LENVIMA in combination with TACE reduced the risk of disease progression or death by 34% compared to TACE alone Lat...