Regeneron PharmaceuticalsとSanofiは、Dupixent®(デュピルマブ)が12歳から17歳の慢性鼻ポリープを伴う副鼻腔炎(CRSwNP)患者に対する維持療法として、米国食品医薬品局(FDA)から承認を受けたことを発表しました。
この承認は、2019年に成人(18歳以上)向け適応を拡大する形で行われました。
これにより、重度の鼻ポリープによる慢性的な症状に悩む思春期患者にも、より効果的な治療選択肢が提供されます。
Dupixentの有効性と安全性
Dupixentは、2つの大規模臨床試験(SINUS-24およびSINUS-52)でその有効性が確認されています。試験では、以下の改善が報告されました:
- 鼻づまり/閉塞の重症度改善
- 鼻ポリープの大きさの縮小
- 嗅覚の改善
また、Dupixentを使用することで、従来の治療である全身コルチコステロイドの使用や外科手術の必要性が24週間にわたり有意に減少しました。
薬物動態データでは、12歳以上の中等度から重度の喘息患者と成人のCRSwNP患者における有効性が示され、安全性も確保されていることが確認されています。
臨床試験の主な結果
- 鼻づまり改善: Dupixent群はプラセボ群に比べ、鼻づまり/閉塞スコアが大幅に改善。
- 鼻ポリープの縮小: Dupixent群では鼻ポリープの大きさが有意に縮小。
- 嗅覚の回復: Dupixent群で嗅覚の顕著な改善が確認。
安全性に関するデータ
Dupixentの安全性プロファイルは、これまでの適応症で確認されたものとほぼ一致しています。24週間の試験で観察された副作用(1%以上)は以下の通りです:
- 注射部位反応
- 好酸球増加症
- 不眠症
- 歯痛
- 胃炎
- 関節痛
- 結膜炎
これらの副作用はいずれも軽度から中等度であり、Dupixentの使用により重篤な副作用が出現した例は少ないとされています。
背景情報と今後の展望
Dupixentは、RegeneronのVelocImmune®技術を使用して開発された完全ヒトモノクローナル抗体で、インターロイキン-4(IL-4)およびインターロイキン-13(IL-13)のシグナル伝達を阻害します。これらのサイトカインは、2型炎症の主要なドライバーであり、Dupixentはこの炎症を抑制することで様々な疾患の改善をもたらします。
現在、Dupixentは全世界で100万人以上の患者に使用されており、慢性鼻ポリープ副鼻腔炎の治療においても新たな選択肢となりそうです。