9月11日、サノフィとレジェネロンは、Dupixent(デュピルマブ)が2つの異なる疾患において重要な試験結果を達成したことを発表しました。
今回は水疱性類天疱瘡(BP)と慢性特発性じんま疹(CSU)に対する治療の可能性が示されました。
Dupixent、難治性水疱性類天疱瘡の治療に効果を確認
水疱性類天疱瘡(BP)は、皮膚にかゆみや痛みを伴う水疱が生じる重篤な自己免疫性疾患です。
特に高齢者に多く見られ、日常生活に大きな影響を与えるこの病気に対して、従来の治療は主にステロイドや免疫抑制剤でしたが、これらには安全性や副作用の問題が指摘されていました。
Dupixentは、このBP患者を対象とした第3相臨床試験(ADEPT試験)で、主要評価項目と全ての副次評価項目を達成しました。
試験では、Dupixent群の20%の患者が36週目までに持続的な寛解を達成したのに対し、プラセボ群ではわずか4%でした。また、Dupixentはステロイド使用を抑制し、患者の生活の質を改善する効果も確認されています。
主な試験結果
- 持続的寛解達成率:Dupixent群 20%、プラセボ群 4%(p=0.0114)
- 90%以上の疾患重症度減少:Dupixent群 41%、プラセボ群 10%(p=0.0003)
- かゆみの有意な改善:Dupixent群 40%、プラセボ群 11%(p=0.0006)
これにより、Dupixentは水疱性類天疱瘡に対する初の標的療法となる可能性があり、特にステロイドの使用を減少させる新たな治療オプションとして期待されています。
参考資料
https://www.sanofi.com/en/media-room/press-releases/2024/2024-09-11-05-00-00-2944237
慢性特発性じんま疹(CSU)の治療でも新たな成果
もう一つの試験結果として、Dupixentは慢性特発性じんま疹(CSU)患者に対する治療でも効果が確認されました。CSUは、抗ヒスタミン薬で十分に管理できない場合に患者の生活の質を大きく損なう皮膚疾患です。
Dupixentはこの治療が困難な患者に対して、かゆみとじんま疹の活動性を約50%減少させる効果を示しました。
この第3相試験(LIBERTY-CUPID試験C)では、Dupixentを投与された患者はプラセボ群に比べて、症状の有意な改善が見られました。特にDupixent群の30%の患者が、じんま疹の完全寛解を報告しています。
主な試験結果
- かゆみの改善:Dupixent群 8.64ポイント減少、プラセボ群 6.10ポイント減少(p=0.02)
- じんま疹活動性の改善:Dupixent群 15.86ポイント減少、プラセボ群 11.21ポイント減少(p=0.02)
- 完全寛解率:Dupixent群 30%、プラセボ群 18%(p=0.02)
これらの結果を基に、Dupixentは慢性特発性じんま疹に対する新たな治療オプションとして、アメリカ食品医薬品局(FDA)への申請が予定されています。
参考資料
https://www.sanofi.com/en/media-room/press-releases/2024/2024-09-11-05-05-00-2944239
まとめ
Dupixentは、今回の試験結果によって、水疱性類天疱瘡と慢性特発性じんま疹という2つの異なる疾患において、有望な結果を示しました!
Dupixentが今後もさらに多くの炎症性皮膚疾患において活用されることが期待されており、今後の展開に注目ですね!