Boehringer Ingelheimが開発中の新薬Zongertinib(BI 1810631)が、進行したHER2変異非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対して有望な結果を示しました。
第1b相試験「Beamion LUNG-1」の解析結果によると、治療を受けた患者の66.7%に腫瘍縮小が確認され、また治療に伴う副作用も軽度で管理可能な範囲に留まりました。
この試験は、既に他の治療を受けた後に病状が進行した患者を対象に行われました。参加者はZongertinibを1日120mgまたは240mgのいずれかで投与され、腫瘍の縮小効果が評価されました。その結果、120mg群で66.7%(95%信頼区間[CI]: 53.8-77.5)という高い客観的反応率(ORR)が得られ、試験の主要評価項目を達成しました。また、240mg群では78.2%の反応率が確認されています。
さらに、脳転移のある患者に対してもZongertinibが効果を発揮し、120mg群で33%、240mg群で40%の反応率が報告されました。これにより、脳転移を含むNSCLC患者に対する新たな治療選択肢としての可能性が示されています。
目次
試験結果の概要
- 客観的反応率(ORR): 66.7%(95% CI: 53.8-77.5)
- 脳転移に対する効果: 33%の反応率、74%の疾患制御率(120mg群)
- 副作用: 軽度の下痢(43%)、発疹(19%)が主な治療関連副作用(TRAE)で、グレード3以上の副作用は120mg群で17%、240mg群で19%に発生
Zongertinibは、HER2変異を持つ非小細胞肺がん患者に対する治療オプションとして期待されており、さらなる臨床試験が進められています。今後のデータでは無増悪生存期間(PFS)や奏効期間(DoR)の詳細な報告が予定されています。
HER2変異は非小細胞肺がんの一部で発生するがんのドライバー変異で、従来の治療法が限られている中、Zongertinibは新たな突破口となる可能性を秘めています。
HER2変異型NSCLC患者に対する新たな治療選択肢として気長に期待したいですね!
参考資料