Bayerは、HER2変異を有する進行性非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する新たな治療薬「BAY 2927088」の有望な試験結果を発表しました。この結果は、2024年9月に開催された世界肺がん会議(WCLC)で報告され、進行したHER2変異NSCLC患者に対する新たな治療選択肢として注目を集めています。
試験の背景と目的
BAY 2927088は、HER2変異を持つ非小細胞肺がんに対する経口小分子チロシンキナーゼ阻害薬です。Bayerはこの薬剤を、限られた治療オプションしかないHER2変異型NSCLC患者のための新しいターゲット治療として開発しています。今回発表されたのは、第I/II相SOHO-01試験の拡張部分であり、主に安全性と有効性が評価されました。
試験結果の詳細
この試験には、進行したHER2変異NSCLC患者が参加しており、少なくとも1回以上の全身療法を受けた後に病状が進行した患者を対象としています。試験では、BAY 2927088を1日2回20mgの用量で経口投与されました。評価可能だった43人の患者において、72.1%(95%信頼区間[CI]: 56.3-84.7)の客観的反応率(ORR)が確認され、そのうち1人は完全寛解を示しました。無増悪生存期間(PFS)は中央値7.5ヵ月(95% CI: 4.4-12.2)でした。さらに、HER2 YVMA挿入変異を有する患者では、反応率が90.0%、無増悪生存期間が9.9ヵ月と特に高い効果が見られました。
副作用と安全性
BAY 2927088の安全性プロファイルは概ね良好であり、治療関連の有害事象(TRAEs)は95.5%の患者に報告されましたが、その多くは管理可能でした。最も一般的な副作用は下痢(86.4%、グレード3が25.0%)であり、次いで発疹(43.2%)と爪囲炎(25.0%)が報告されました。治療関連有害事象による治療中止はわずか6.8%に留まりました。
今後の展望
BAY 2927088は、HER2変異を持つ非小細胞肺がん患者にとって、重要な新たな治療選択肢となる可能性がわかりました。
現在、Bayerはこの薬剤の効果と安全性をさらに確認するため、グローバルな第III相SOHO-02試験を開始しており、今後の結果が期待されますね!
バイエル社のBAY2927088が、FDAから非小細胞肺がん治療薬としてブレークスルー・セラピーの指定を受領👏#製薬プレス解説
— チクチク@製薬ブログ (@mrnetinfo) February 26, 2024
BAY 2927088は、経口で投与される可逆的なチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)… pic.twitter.com/4T9BQtU2s3
参考