MRが顧客に送るメールの有効利用を考える
2020コロナ禍を受けて各社製薬企業が医師へのE -mail を使った製品プロモーションを強化しています。実際こんな記事もミクスオンラインが掲載しています。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、医療機関へのMR訪問の自粛や、MRを含めて在宅勤務を基本とする製薬企業が相次いでいるなか、MRによる情報提供手段としてメールを利用する頻度が平時の3倍になっていることが、医薬品マーケティング支援会社エム・シー・アイ(MCI)の調べでわかった。
製薬企業8社のMRから医師へのメール送信実績を確認したところ、週ごとの1日あたり平均メール件数は、平時の5000件前後に対し、直近の3月1週目は約1万5000件となっていた。MCIによると、メールのほとんどが訪問自粛の案内や、医師の関心が高いであろう情報のコンテンツを配信する内容だとしている。
ミクスオンライン:MRから医師へのメール 平時の3倍に 新型コロナでの訪問自粛受け MCI調べから引用
しかしながら、同時に
- とりあえず会社のいうまま送っている。
- ネタが少なく、ニーズのない情報を送っている
- WEB情報ばっかり送ってしまっている。
という様な問題も出てきています。上記記事を見ても関心があるであろう内容や訪問自粛の案内と書いてありMRが送る内容に困っている様が垣間見えます。
こんな中、スパム寸前のメール活用で医師にメールを開いてもらえず、効果を疑問視している人や戦略ないメールに嫌気がさしてる人もいらっしゃるのではないでしょうか。
ザイオンス効果とは
ザイオンス効果はアメリカの心理学者ロバート・ザイオンスが1968年に提唱した効果です。同じ人や物に接する回数が増えるほど、その対象に対して好印象を持つようになる効果とよく説明されます。これはプロモーションにおける製品メッセージも同じです。同じ戦略メッセージを言い続けるほど、たくさん触れるほど良い印象を持つようになります。
負のザイオンス効果
しかしザイオンス効果には注意点がありまして、負の方向にも働いてしまいます。最初の印象が悪い場合、触れれば触れるほど嫌いになります。有効に使うためには最低限フラットな状態でスタートする必要があります。
また好印象が強くなる前に大きな欠点に気づくと大きくマイナスに傾いてしまうというリスクがあります。こうなってしまうとザイオンス効果は有効に働きません。
医薬品の場合デメリットを伏せて紹介する訳にはいきませんのでデメリットを顧客が強く気にした場合はザイオンス効果はいったん置いておいて懸念を払拭する方に舵を切ったほうが賢明です。
ザイオンス効果の限界
うまくいった場合、好意的印象は青天井に上昇する訳ではありません。当然限界があります。具体的にはおおよそ10回程度で限界を迎え、その後はほぼ上昇しないと考えられています。
接触回数がどの様に購買意欲に繋がるのか規定した物が次に紹介するセブンヒッツ理論です。
セブンヒッツ理論とは
セブンヒッツ理論は7回CMを見ると、その商品を売り場で見つけた時に認識、購入する可能性が高くなるという理論です。ザイオンス効果が与える購買意欲への変化を表しています。ちなみに3回で認識し7回で購買に結び付くと規定しています。
これを医薬品のプロモーションに当てはめると3回の製品メッセージ紹介で認知、7回で処方となります。
もちろん7回で足りないケースやさらに少ないケースもあるでしょうが、目安として7回が顧客の行動変容を促す最低プロモーション回数と考えれば戦略が立てやすくなります。
ザイオンス理論、セブンヒッツ理論を踏まえたメールの送り方
ザイオンス効果とセブンヒッツ理論を応用する際の注意点をまとめると恐らく4点あります。
- 相手が好意を抱きそうな製品メッセージの選定
- 顧客が気にする欠点が大きい場合は中止する必要がある為、細心の注意を払う。
- 自身が嫌われているところでは自身が欠点として作用する為、注意。同様に身嗜みも重要。
- 7回のメッセージ浸透を短期間で行う。
『Aという背景をもつ患者でBという医薬品を使うと効果的。理由はCだから』
という恐らく好意的に受け取ってもらえるメッセージを決めたら下記方法で同様のメッセージを徹底して紹介してはいかがでしょうか。
- 2回面会→メールに同様のメッセージを記載し送信(3回接触により認知)
- 2回面会→メールに同様のメッセージを記載し送信→説明会(7回接触により処方)
- ダメなら残り3回延長(累計10回ザイオンス効果の限界)それでもダメならメッセージ見直して最初からやり直し
こういう方法ならば、恐らく嫌がられずにメールを戦略的に活用できるでしょう。メール&面会を同様の内容を送るメリットとしては、
- そもそもターゲット顧客なので関連する患者を抱えていることが多くニーズを捉え易い。
- 面会とメールの製品メッセージが同じなので送る内容に困らない。
という点があげられます。
恐らくカンの言い方は気づいているでしょうが、これはメールでなければならない物ではありません。
コプロメーカーや共闘している特約店のMSでも同様です。7回という目標と好意的い受け取ってもらえるであろう製品メッセージをコプロメーカーやMSと共有すれば1ヶ月での処方行動変容も見込めるかもしれません。
自身2回面会、コプロ2回面会、MS1回面会、2メールで7hitsです。こうやって回数が決まっているとメールを戦略的に活用しやすくなった様な気がしませんか?