お疲れ様です!ブログを書く様になってからすっかり筋トレをサボっているチクチクです!
さて今回は新薬発売時の薬の売り方について考えます。
新薬発売は製薬会社全体にとって大事なイベントです。
特にMRにとっては実力を示し上層部にアピールする絶好の機会であると同時に、コケることが許されない強いプレッシャーに晒される仕事でもあります。
またMRにとっても新発売は重要ですが、薬自体にとっても発売時は非常に大事です。
どれくらい大事かというと、
発売時にMRが失敗した薬は、多くの場合そのエリアで死にます!
死にます!Deathです!発売まもなくして死が決定します!!言い過ぎに聞こえますが、本当です。
発売後10年ほどたって特許が切れるまで、他のエリアと比べて売れない状態が続きます。
競合メーカーからすると「ごっつあんです」状態。自社からすると「God and Death」状態になります。
もちろん後々の頑張りで逆転することは不可能ではありませんが、発売時以上の大きなエネルギーを必要とします。
感覚的には2〜5倍くらいはエネルギーが必要です。
新薬にとってもMRにとっても大切な新発売!!
「どうせなら目立ってアピールしたい!荒波立てることなく上手くいかせたい」というのが普通の感覚ですよね?
新発売時に目立つためにはどうすればいいのか?
そしてさらにいうと「目立つためには点で売るのか?面で売るのか?」どちらが効率的なんでしょうか。
面、点を解説するとこんな感じです。
面:多数の施設で一定の実績を積み上げる方法。点を複数結ぶと面になることから命名。
【MRの皆様に永遠のテーマを質問】
新薬発売時に目立つためには— チクチク@お薬ブログ (@mrnetinfo) November 13, 2020
この問題を考えていきます。
新発売時には点が大事
結論から述べます!
新発売時に目立つ売り上げを作るには「点で売る」方が効率がいいです。
なので、目立ちたかったら1本釣りスタイルは最低限、使えた方がいいです。
意見の割れている話ですし、これを聞いて皆さんいろいろな意見がおありかと思います。
特に面派の方は、「は?こいつ何言ってんの?」と思っていますよね。
いち社畜が言っている内容ですし、ムカつくのもわかります!!
ただ一応根拠もありますので、とりあえずこのままお聞きください!
- 売り上げは上限のある指数関数グラフ
- 2週間処方の問題
- 超高市場施設の存在
この3点です。順番に紹介しますので許してください!
売り上げは上限のある指数関数的グラフ
ちょっとややこしい話なんですが、
営業かかけるリソース(基本的にはヒトモノカネ)に対する顧客の反応(売り上げ)は線形グラフを描きません。
今より2倍リソースかけても売り上げは2倍になりませんよね?
特に活動初期はどれだけ営業してもほとんど変化を感じないことの方が多いですよね?
しかしながらある時、急に実績が上がり始め、あれよあれよという間に拠点になったという経験をされている方いらっしゃいませんか?
最初は手間かかっていたのに、ある時急に売り上げが爆発するんです!!
これはリソースに対して売り上げか指数関数的上昇をとる為です。
指数関数グラフはこの様に最初はほとんど上昇しませんが、一定のラインを超えると急激に上昇していきます。
営業の売り上げをY軸、リソースをX軸とすると、有効なリソースが一定を超えた段階で急激に売り上げは上昇します。
勿論患者数には上限がありますので、最終的には頭打ちになりますが、その値は施設で診察している患者数によって変わります。
当然、市場の大きい施設の方が上限も高いです。
つまり売り上げを伸ばすには、患者数が多く、リソースがある程度投入できていて反応が良くなっている施設。
ここにリソースを集中投下すれば、大きな実績に繋がります。
売れている施設にはどんどんリソースを投下しよう。
またリソースは有効なリソースである必要があります。
無駄な打ち手ではなく、効果的な打ち手を選択する必要がありますが、これは営業力によって変わる点ですので、当然個人で違います。
なので営業力が高い人ほど有効な打ち手を選択していますので、リソースを売り上げに変換する効率も良くなります。
一本釣りをした時としなかった時でどれだけ差があるか解りやすくするために簡単な計算をしてみます。
便器状、売り上げのグラフの式をY=2のX乗(Xはリソース)として、リソースが10ある状態で下記条件を適応します。
- 条件1:全てのリソースを1施設に入れた場合(一本釣り)
- 条件2:リソースを2分割して2施設に入れた場合
この場合、
- 条件1は2の10乗ですので1024
- 条件2は2の5乗×2ですので32×2=64
条件1:条件2=1024:64と実に16倍の売り上げの差が生まれています。
さらに細かく3施設に3、3、4で振り分けた場合、だと8+8+16なので32となりさらに効率は悪くなります。
売り上げが指数関数的増加を認める以上、基本的にはリソースは1点集中した方が結果は良くなります。
しかしながら前述の通り頭打ちがありますので、頭打ちの場合はそれ以上の上昇は見込めません。
なので頭打ちになった得意先にはそれ以上のリソースをかけず、残りの施設にリソースを適切に配分していく事で売り上げは最大化されます。
MRが訪問できる回数、行動できる回数は限られています。
訪問数も大体80〜160回/月と言われています。
この限られたリソースを傾注し、売り上げを最大化するためには紹介した通り指数関数的グラフをとるということを強く認識する必要があります。
2週間処方の問題
二つ目の理由が2週間処方の問題です。
発売された新薬は基本的には2週間分しか処方できない処方制限がかかります。
期間は1年間。これは発売されて臨床経験が少ない薬剤が長期に処方されることを防ぐことで薬害時に歯止めとなるという役目があります。
多くの病院やクリニックでは1ヶ月や28日で処方を出していることが多い為、14日分しか出せないと非常に使い勝手が悪くなります。
1位は取れなくても再現性のある活動には繋がります。
短期的な結果のために点での活動が重要になります。
超高市場施設の存在
そして、もう一つ大きな理由があります。
それが、超高市場施設の存在です。資本主義経済とは残酷なもので、通常の得意先10〜20軒に相当する得意先が存在します。
当然ながら超高市場施設の処方上限も10〜20倍です。
ここは俗にいう絶対に負けられない戦いが展開される場所です。
ここを担当した場合、ここが落とせないと他でどれだけ面を得ようが、しばらく浮上してくることはありません。
他の10軒へのリソース量を落としてでも、攻略しないと、会社から降りてくる大量の計画に押し潰されてしまいます。
再三になりますが、リソースは限られています。
限られたリソース、限られた期間で売り上げを上げるためにはリソースの集中とターゲットのシビアな選択が必須です。
超高施設は特別な理由がない限り、間違いなくターゲットにして、リソースを集中し負けられない戦いに勝ちましょう!!
負けないためには点の活動が必須!!
苦い思い出
実際、私にも面で勝って点で負けた苦い経験があるんです。
それこそ、入社2年目に発売した期待の新薬A、この薬は併売品でして全く同じ薬効の薬が違うブランド名aとして発売しました。
当時私が決めたターゲット先は、23軒。
若く息巻いていた私は自社の方が経費も多かったこともあり(当時は接待できましたので…接待しまくりました!!)
23軒中18軒で勝利を納めました。
78%の得意先を手中に納めました!!すごくない??
大勝利!!!って思うじゃないですか?圧勝じゃないですか!!パッと見…
しかしながら発売直後のシェアは4:6で負けました!!
取られた2軒の中に市場No1とNo2が含まれていたんですねー
さらに運悪くNo2が長期処方関係なく使うタイプでした。それはもうドカスカと…
結果、軒数のアドバンテージを吹き飛ばされてしまいました。
競合は、全体を見通してNo1,2にリソースを集中してきたわけですねー!!
言い訳するとNo1施設は新人に持たせられないってことでボスが担当していたんですけど、バッチリ負けてくれましたw
なお、この上司に4:6で負けている理由を詰められたことが、初めて上司に殺意を覚えた経験です笑
ただNo2に関しては100%私の責任です。
さらにアホなのは、No.2施設は発売ギリギリまで私が勝っていたんです。
でも勝利が見えた段階で、他のターゲットのフォローに回った隙をかっさらわれました!!
どどめ刺す前に油断した結果です。
ワイならそんなもったいない事しないわ!逮捕!!
こうなった原因ですが今振り返るとターゲット選定のシビアさがかけていました!
23軒は恐らく多すぎました。あと5軒市場下位施設を外していれば、リソースに余裕ができNo2を取られることはありませんでした。
ぶっちゃけ捨てる覚悟が足りませんでした。
この経験はかなり強烈な苦い経験です。
さらに、この後3年くらいかけてNo3を取り戻し、7:3までシェアを上げることに成功し、売り上げも視点TOP3に入るのですが…
この時は上司たちは市場が落ち着いたこの薬ではなく、新しく発売した別の薬に夢中!!
結果頑張りが注目されることはエリアを出るまでありませんでした。
私はターゲット選定とリソース集中の重要さ、目立つべき時に頑張り結果を出す必要性をこの経験から学びました。
面がいい場合もある
ここまで新薬発売時は点営業が重要と紹介してきましたが、もちろんそうではない場合も存在します。
私自身、あまり面営業は得意ではないので、もしかするともっとあるかもしれませんが(得意なかた教えてください)
思い当たるケースが3つありますので簡単に紹介します。
市場がバラけている
一つ思うのは新発売品の市場が広くばらけている場合です。
安い薬なんかだと稀にあります。
もちろん2週間処方を気にする事なく使う顧客を見つけ、処方を早く爆発させれば目立てはしますが、売り上げの最大値が小さく、面で売っている人とあまり大差が生まれなかったりします。
1軒で大きく差をつけられないと、面の100錠を重ねる活動の方が圧倒的に強くなります。
さらに面の方が処方の分散によりリスク分散されているので処方も安定しやすいですし、1年後の長期解禁時に軛(くびき)が解かれた高市場先によって逆に差を着けられてしまう場合もあります。
市場がバラけている市場の場合、目立つためには「ある程度、面で勝負する必要がある」ことは覚えておいた方がいいともいます。
行動力が無限大
そして、点で活動することが適応されないケースがこれ、行動力が無限大の人です。
稀にいますが、何軒まわっても疲れない!!回るの楽しい!!!もっと回らせろ!!モチベーション??何それ下がるの??って人です。
あなたは化物です!!この世の理から外れた化物は「点で稼ぐことと面で稼ぐこと」を両立できます!!
なのでそんな貴方は私のブログなど読む必要はありません!!どんどん営業してシェアを上げてください!!
そして早く本社に抜擢されてエリアからいなくなってください!!
多くの新人
そして、多くの新人も面で活動するべきです!!
というのもほとんどの新人は経験不足から、有効なリソースを見分ける力を持ちません!
序盤の売り上げが指数関数を示すという話をした時に
無駄な打ち手ではなく、効果的な打ち手を選択する必要がありますが、これは営業力によって変わる点ですので、当然個人で違います。
なので営業力が高い人ほど有効な打ち手を選択していますので、リソースを売り上げに変換する効率も良くなります。
そうしないと社畜と同じようにNo1.2を取られる可能性もあるわ!
まとめと後書き
新薬発売、点で売るか?面で売るか?
私は発売時に目立つためには、以下3理由と過去の経験から点で売るべきです。
- 売り上げは上限のある指数関数グラフ
- 2週間処方の問題
- 超高市場施設の存在
そして発売時に2〜3軒の拠点施設で目立った後には、2週間処方が解禁されるまでの間に面に広げ、解禁と同時にさらにシェアをとって目立つというのが王道ストーリーだと思ってます。
制約がある新発売時には点、制約が外れるタイミングで面に移行
この方法はTwitterのフォロワーMRのみなさんにも多くいらっしゃったので、結構一般的なんじゃないでしょうか?