2023年2月…ミクスオンラインさんで
こんな記事が発表されました。
結構、衝撃的な内容で、
みなさんの反応も様々です。
全体の印象としては
『金稼ぎ』や
『そもそも必要ない』
といったネガティブなコメントが
多く目立ちました。
ただ私自身は記事を見た時から
ポジティブに捉えていました!
(もちろん金稼ぎという批判は否定しませんが)
というのもMRという職種の
仕事内容は大きく変わったにもかかわらず
社会的地位は10年前から大きく変化していない。
そしてこれからも変化するようには
思えていなかったためです!
そういった意味で
今後の変化につながる可能性が生まれた
(実際に変化するかは別として)
という意味でポジティブに考えています。
今回MR認定センターから
全体像を示した資料が公開されましたので
※認定試験制度改革検討委員会 検討結果報告書
詳しく
- どう変わるのか
- これまでの問題点は何か?
この2点をを解説していきます。
報告書…
29Pもありましたw
MR認定試験はどう変わる?
まずは具体的な変更点です。
変更点1:試験に落ちるとMR活動できない
これが最も大きな変更点です。
これまではMR認定試験に落ちても
MR活動は行えておりました。
今後はできなくなります!
試験に落ちると
MRできません!
抜け道はなし!
衝撃!!
詳細は後述しますが、
今後は試験が導入研修修了を証明する
という属性を持つため
試験に受からないと
導入研修を修了したことにならず
MR活動ができません。
これまでは
6ヶ月の導入研修は試験の受験資格でしたが
これからは
導入研修修了=試験修了
という扱いとなるため
試験修了しないと研修修了とみなされず
MR活動が認められなくなります!
資料にはこんな感じで
書かれています。
【現行制度】
認定試験制度改革検討委員会 検討結果報告書 2023年2月
認定試験に不合格でも導入教育が修了認定されれば MR 活動ができ、継続教育の対象者となる。
【提案する新制度】
試験の合格をもって導入教育における基礎教育が修了認定される。不合格者は導入教育の修了とは認定されず、MR 活動を行えない。また、導入教育を修了認定されるまでは継続教育の対象者とはならない。
これって採用側にとっては
かなりのリスクになるのでは?と思います。
というのもMRとして採用してから、
万が一試験に落ちると
次の試験までMRとして働けなくなり、
負債として会社に抱え込む形になります。
落ちるとそのまま
会社のお荷物になります!
ただ試験方法が
CBT化されるので、
1年先まで受験できない
という問題はありません!
ちょっと安心…
変更点2:必ずしも導入研修を必要としない
MR試験の受験資格が
導入研修ではなくなったので
新入社員MRに必須だった
導入研修が必要なくなります。
これは会社ごとに対応が分かれそうな内容です。
試験に合格したものだけを採用する!
というスタンスの会社は
これまでの数ヶ月に及ぶ研修を
大幅に短縮して実務に従事させることが
可能になります。
試験の内容が薬学4年相当
という情報を考える限り、
薬学部からの採用を中心としている会社では
研修の大幅な短縮も考えられそうです。
(実際、第一三共の2022年採用ではMR採用は薬学部のみと話題になりました)
文理薬それぞれ欲しいという会社は
従来通り数ヶ月の研修をして採用しますよ!
というスタンスになりそうです。
ただ昨今のMR数の減少と
”給与に立脚するそれなりの人気”を考えると
中長期的には在学中に試験に受かっておく
というのは必須になっていきそうです。
- 学生時代から薬学に興味がある
- 最低限の試験に受かる頭脳
- 導入研修の費用を抑えられる
と採用側にとってはメリットが大きそうです。
文系でも優秀な人は普通に合格しそうですしね。
【現行制度】
認定試験制度改革検討委員会 検討結果報告書 2023年2月
導入教育における基礎教育は、企業または実施機関が実施主体となり、センターへの計画の届け出と実施報告の申請を行い修了認定される必要がある。認定試験の受験資格は導入教育における基礎教育を修了認定された者である。
【提案する新制度】
受験資格を撤廃し、試験の合格をもって導入教育における基礎教育の修了を認定する。導入教育における基礎教育の実施主体が制限されないことから、個人学習でも受験が可能になる。ただし、すべての者に個人学習を推奨するものではなく、前提知識の不足等により個人学習に支障がある者には、実施機関が提供するプログラムの受講を推奨する。
なお、この場合の試験は一定割合を不合格とするのではなく、一定基準のレベ
ルに達している者を合格とする必要がある。
変更点3:継続教育は原則MRポータルを使用
これは採用ではなく
現役世代の一部の人にとっては
大きな問題になりそうです。
少なくとも第一三共の皆さんは
ダメージあると思います
これまで多くの会社が継続教育に
MRポータルを使っていましたが
一部、企業独自の仕組みで代替している企業が
3.5%存在しました!
が!これからは
MRポータルが必須になります!
コレまでポータルから
逃れていた皆さんも
地獄の基礎教育年次ドリルを
一緒にやりましょう!
【現行制度】
認定試験制度改革検討委員会 検討結果報告書 2023年2月
ポータルに搭載された基礎教育年次ドリルを全問正解して終了することをもって
当該年度の基礎教育の修了認定とする。ただし、企業独自の仕組による個人学習
の場合には、計画の届け出と学習成果の確認に基づく実施報告による申請を認
めている。
【提案する新制度】
現在ポータルの利用率が 96.5%であること、学習到達目標の達成度は共通の尺度で測定する必要があることから、継続教育における基礎教育の修了認定の基準はポータルに搭載された基礎教育年次ドリルの全問正解による終了と定める。
変更点4:実務教育は7科目から4科目へ
コレはコレまで紹介した内容ほど
大きく影響がありませんが、
実務教育が7から4科目へと減少します!
従来制度 | 新制度 |
---|---|
倫理教育 | 倫理教育 |
安全管理教育 | 安全管理教育 |
技能教育 | 技能教育 |
製品関連知識 | 企業が必要とするその他の科目 |
製品知識 | |
実地教育 | |
その他の教育 | |
7科目 | 4科目 |
従来の基本とするところは同様に
企業ごとに個別に必要な教育には
裁量を持たせる形に変わっています。
販売製品が会社ごとに異なるので
ここに幅を持たせるのは
本質に沿った対応ですよね。
変更点5:認定証の交付要件が変わります!
MR認定証の交付要件が変わります!
– | 従来制度 | 新制度 |
---|---|---|
認定証の交付要件 | 試験合格+6ヶ月の業務経験 | 試験合格+実務研修修了ドリル |
これまでは試験の合格と
実務経験を6ヶ月積む必要がありましたが、
新制度では
試験合格と実務研修修了ドリルの達成
をもって交付がなされます!
MR 経験は制度創設時に認定試験の受験資格であったが、2008 年に個人受験が可能になったことから認定証の交付要件に変わった。MR 経験には修了要件がなく、提案する新制度は実務教育の修了認定基準が充実されることから、認定証の交付要件としての MR 経験 6 カ月を廃止する。
認定試験制度改革検討委員会 検討結果報告書 2023年2月
6ヶ月のMR経験という
あやふやなものではなく
新制度での修了認定基準で
ちゃんと認定していきます!
という内容です。
ドリルの内容は以下のとおりです
実務教育の出題内容は「倫理教育」と「安全管理教育」に関して判断を問うものとし、一定期間内に全問正解することで終了とする。また、実務教育修了ドリルは原則として年間を通じて随時受けられるものとする。
認定試験制度改革検討委員会 検討結果報告書 2023年2月
試験+ドリルですので
実質試験が2種類に増える訳です。
ただコレは後述するMR認定試験の
MRの最終的な資質を認定する
…という、そもそもの目的を
達成するための変化です。
ちゃんと理解すると
個人的には好印象な変化です。
個人的にはMRの今後の方向性が一つ示されたな…と感じました。
薬学云々ではなく倫理と安全管理MRにとっては当たり前のような内容ですが、
この部分は対顧客と触れ安全管理情報を収集するというMRしかできない業務として
認定センターが特化させようと考えているのではないでしょうか?
変更点6:その他変更点
その他の変更ポイントは一覧表にいたしました!
ポイントをかいつまんでおけば大丈夫だと思います。
– | 従来制度 | 新制度 |
---|---|---|
試験名 | MR認定試験 | MR 基礎教育修了試験 |
受験資格 | 導入研修の修了 | なし |
試験方法 | 集合 | CBT |
回数 | 年一回 | 複数 |
2022年までの問題点は?
ここからはセンターが
なぜこのような対応を取ったのか
現行制度の
問題点に触れていきます!
受験対象の変化
まずセンターが考える問題点の
一つ目は受験対象の変化です。
これに関してはセンターは
以下のように説明しています。
1993 年 5 月の最終報告において、MR に対する教育研修体制の充実とともに資質の向上策として MR の資格化を早急に検討するよう提言したことに端を発している。
認定試験制度改革検討委員会 検討結果報告書 2023年2月
センターが公益財団法人への移行認定を受けるにあたり、認定試験の受験資格を製薬企業やCSO等の企業所属者に限定できなくなり、個人で受験を希望する者に門戸を開放する必要に迫られた。そこで、2008 年にそれまで 1 つの教育研修として扱っていた導入教育を基礎教育と実務教育に分割し、導入教育を従来どおり実施する「一体型」と、基礎教育と実務教育を分割して実施する「分離型」を選択できるように制度を改定した。その結果、センターが認定した教育研修施設において基礎教育の修了認定を受けた者は認定試験を受験できるようになり、2008年に実施した第 15 回認定試験からは企業に属さない個人が受験できるようになった。
認定試験制度改革検討委員会 検討結果報告書 2023年2月
この制度改定により、認定試験は MR としての資質を最終的に認定する試験から、導入教育の基礎教育について学習到達目標に達していることを認定する試験に位置づけが変更された。そのため、認定証の交付には認定試験の合格に加えて導入教育の実務教育の修了認定ならびに MR 経験 6 カ月が必要となり、試験の合格から認定証の交付までに時間を要することになった。
つまり公益財団に変わる際に
MR認定試験のそもそもの目的が
大きく変遷していました。
最終的に資質を認定する試験から、
学習到達度を認定する試験に
位置づけが変化。
言い換えればMRの資質を
認定する方法が別に必要な状態
こんな問題を内包していた訳です。
試験はもともとMRの資質を
最終的に認定することが使命だったのに
いつの間にか学習到達度を
測るだけの試験になってしまっていた。
なので今回MR認定証の交付要件が
学習到達度+実務研修ドリルという
実質2本だての試験方法に変化しました。
この改革により
本来の目的である
MRの資質を
最終的に認定する試験への
変化を狙った訳です。
受験者数の減少
みなさんに金稼ぎだーーー!!
と批判を受けるポイントですね!
コレに関しても
センターはちゃんと説明しています。
MR 数は 2013 年度の 65,752 人をピークに漸減し、2021 年度は 51,848 人と 2割以上減少した(図3)12。また、同時期に認定試験受験者も急減した(図4)。
認定試験制度改革検討委員会 検討結果報告書 2023年2月
認定試験事業は固定費の割合が高く受験者数の減少は事業収益に大きな影響をもたらすことから、事業の継続性に危険信号が灯った。これが事業構造改革検討会議を設置する契機となった。
もっと早くやれよ…という気持ちもあるのですが
ちゃんと正直に受験数減って
事業としてやばいっす!と白状しているので
好感度高くないでしょうか?
無い袖は振れませんし、
MRの価値最大化のために働ける機関としては
やっぱりMR認定センターの
割合は大きいと思います。
ちゃんと稼いでちゃんと
還元して欲しいですね!
現行の認定試験制度に内在する問題点
そして試験制度に内在する問題点も
9点あげられています。
この9点の問題は表に箇条書きにしつつ
あわせて、ざっくりと解説をいたします!
内在する問題 | ざっくり解説 |
---|---|
新たな認定の仕組み | 前述の通りMRを認定する方法としては欠陥があった |
年 1 回の試験 | 試験日の前倒し、 年複数回の受験機会でも問題はない |
試験会場の借用 | コロナなどのイレギュラーで 試験会場の貸し出しに リスクが生じ始めている |
一斉試験のリスク | コロナで一斉試験が行えず 自宅のPCで受験などが発生した=不公平 体調不良や交通事情にも対応はできないというリスクも |
受験資格と個人情報の適正管理 | 一度受験資格を得たものは永久に資格を保持し 個人情報を永久にシステムに登録されている コレは個人情報管理の観点からは不適切 また受験資格にも制限を儲けるべき |
受験資格と合否結果 | 受験資格は導入教育における基礎教育を修了認定された 者であるが、現行の制度だと認定試験の不合格者は 導入教育における基礎教育を 修了していないことになり矛盾する |
合格科目の有効期限 | 不合格科目のみを再受験する仕組みがあるが 再受験を10年間繰り返す者がいる。 MRとしての適格性に疑問が生じる |
出題レベルと合格基準点 | 受験者数の減少に伴い相対評価運営の結果 「疾病と治療」の近年の合格基準点は4 割近く不正解でも 合格と判定されてしまっており不適格 |
否判定方法 | 近年は学力レベルのばらつきが大きく相対評価では限界になっている。 |
ふーんそうなんだ!くらいに
思ってもらえると幸いです!
まとめ
以上、新MR認定制度の変更点の解説と
現状の問題点について触れてみました!
意外に思ってた内容より大きな変化だ!
と感じた人も多いのではないでしょうか?