2023年2月20日に
広島大学のホームページに
広島大学と小野薬品の
寄附講座をめぐる問題の
調査結果が公開されました。
※広島大学寄附講座等に関する調査会の調査結果
ただ、この手の報告書は
オフィシャルな資料なので
やっぱり読みにくいんですよね…
当ブログはこう言った
製薬関連の解りにくい報告書を
まとめて参りました。
今回の事件についても
公開内容を元に表を用いて
解りやすく解説していきます。
発覚の経緯と調査メンバーについて
まずは情報を元に
発覚&調査会設置の経緯と
調査メンバーについてまとめました。
調査会設置の経緯
日時 | 実施者 | 内容 |
---|---|---|
2022年 11月1日 | 公益通報者 | 広島大学公益通報窓口に M寄附講座教授に関する公益通報がある。 内容は以下2点 ・M寄附講座教授が時間外労働の申請を不許可にしたこと ・M寄附講座教授が内分泌・糖尿病内科の医局員に O社の薬剤の院内採用と使用量の増加を指示し、 見返りにO社から寄附を受けているということ |
11月17日 | 公益通報処理 管理者 | 事実関係の調査を関係部局の長に指示(回答期限12月8日) |
11月18日 | 公益通報 窓口担当 | 公益通報として受理し内部調査に着手したことを通知 |
12月8日 | 学校側 | M寄附講座教授が週刊誌「FLASH」の記者から 取材を受けたことを知り、学長に報告 ・初めて学長に公益通報について報告 ・第三者の弁護士を入れた「調査会」を設置 |
12月13日 | 週刊誌 「FLASH」 | ・M寄附講座教授の記事が掲載された |
ことの発端は通報から始まっているんですね!
- 通報から16日たって調査指示が出ている
- 学長の耳に入ったのは1ヶ月以上後
この2点に違和感を感じますが
大きな組織だとこれくらいの
タイムラグは発生するのでしょうか?
これ以外は淡々と
対応されている印象を受けます
ちなみに最終的に
掲載された雑誌はこちらです。
Kindle Unlimitedで
無料で読めますので
気になった方は画像を
クリックしてください。
ちゃんと書いてあります
教授レースの闇……
調査会の構成
役職 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
座長 | 木村豊弁護士 | 吉田·木村法律事務所 |
構成員 | 廣田 茂哲弁護士 | 廣田法律事務所 |
構成員 | 近藤いずみ弁護士 | 吉田·木村法律事務所 |
構成員 | 田中 純子理事·副学長 | 霞地区·教員人事·広報担当 |
構成員 | 俵幸嗣理事 | 財務·総務担当 |
構成員 | 丸山 博文副学長 | 医系科学担当 |
調査チームは弁護士チームと
理事&副学長チームです。
大学側の強い意志を感じるメンバーと
言えるのではないでしょうか?
座長の木村豊弁護士は2015年に
広島弁護士会会長を勤めている大御所です。
また吉田·木村法律事務所と
廣田法律事務所ともに
広島の弁護士事務所です。
つまり広島大学の理事&副学長&
広島の大御所弁護士チームが
この問題に
取り掛かったわけですね!
調査の目的と内容
この調査のメインの目的は以下の3つです。
- 時間外労働や寄附講座、
薬剤採用に関する事実を調べること - 利益相反や不適切な行為がないかを調べること
- 改善策を提案すること
調査の方法は、関係者からの聞き取りや書類調査。
調査期間は、2022年12月8日から2023年2月20日までの間でした。
聞き取り対象者は19名で、
主に広島大学大学院医系科学研究科 糖尿病・生活習慣病予防医学講座や
O社からの聞き取りが行われています。
事実関係の確認
論点となったのは以下4点です。
- 寄附講座開設に至る経緯
- グラクティブの院内院外の採用経緯
- 寄附講座の延長について
- 時間外労働に関して
この4点の事実確認と利益相反などの
問題があったか否か?が争点となりました。
順番に見ていきます!
寄附講座開設に至る経緯
日付 | 経緯 |
---|---|
2017年5月末ころから9月 | M寄附講座教授(当時は講師)から0社らに対し、寄附講座への寄附要請 |
2017年12月25日 | O社が広島大学に対し、寄附申込書を提出 設置目的は在米日系人医学調査研究の推進および広島県の糖尿病医療体制の構築 設置期間は3年(2018年4月~2021年3月) 寄附金額総額は4500万円(2018年3月以降毎年1500万円の分割寄附) |
2018年3月20日 | O社から1500万円が入金される |
2018年4月1日 | 寄附講座開始 他の寄附会社(A社、B社、C社)3社からも入金される 4社総額2400万円(3年間で7200万円) |
これって一般の方から見るとあれ?
って人もいるかもしれませんが、
寄付金講座自体は業界として認められた行為でして
設置自体には全く問題がありません!
実際報告書でも以下のように
問題ないと
結論づけられています。
公正競争規約によって制限されるものではなく、また、設置のためのM寄附講座教授の行為に何らかの利益相反に係る問題があったということもない。
広島大学寄附講座等に関する調査会の調査結果
補足:グラクティブ、ジャヌビアとは
解説する必要ない人も多いと思いますが
一応非業界の方のために簡単に触れます。
「ジャヌビア」と「グラクティブ」は、
どちらも「シタグリプチン」という
成分が含まれる2型糖尿病の治療薬です。
グラクティブはO社が作っていて、
ジャヌビアはMSDが作っています。
2017年当時、
広島大学病院で使われていたシタグリプチンは、
院内でも院外でもジャヌビアでした。
院内とは病院内で薬をもらうことで、
院外とは病院外の薬局で薬をもらうことです。
この2つの薬の値段はほとんど同じで、
外来患者が支払う負担も同じです。
名前の違う全く同じ薬
と思ってOKです。
開発時の契約や経緯で
同じ薬を別の会社が名前を変えて売ることが
医薬品業界ではよくあります。
併売品って言います
グラクティブの院内院外の採用経緯
日付 | 内容 |
---|---|
2017年 11月15日 | M寄附講座教授がR教授宛に送信したメール。 「グラクティブ錠の採用について」という件名で、O社からの寄附金をもとに、 ジャヌビアからグラクティブに変更するための理由を考える必要はなく、 「寄附講座設立に対するO社の多大なる貢献と、当社の糖尿病薬剤の処方を広めたいため」 という理由で薬事委員会へ申請すべきだと提案している。 |
2018年 2月21日 | グラクティブの院外採用が承認される |
2018年 3月7日 | グラクティブの院外取扱が開始される |
2018年 3月9日 | 内分泌·糖尿病内科のスタッフ及び医科診療医ら宛に送信したメール。 「糖尿病薬の使用」という件名で、大学病院の外来や外勤先にて、 寄附講座の設立に貢献したO社、A社、B社の薬剤を なるべく使用するよう呼びかけている。 添付ファイルには「DPP4阻害薬、SGLT2阻害薬」という努力目標が添付されている。 |
2019年 2月13日 | 内分泌·糖尿病内科のスタッフ及び医科診療医ら宛に送信したメール。 「処方薬について」という件名で、 当科の2018年上半期の薬剤使用ランキングが通達され、 ジャヌビアの処方をなるべく制限し、代わりにテネリアに変更するよう求めている。 |
2019年 12月18日 | 「ジャヌビア錠50mg」から「グラクティブ錠50mg」への院内採用の変更が承認 |
2020年 1月29日 | グラクティブ錠50mgの院内取扱が開始 |
この部分に関しては利益相反が認められました。
- 2017年11月15日のメール送付行為
- 2018年3月9日のメール送付行為
- 2019年2月13日のメール送付行為
報告書の内容をそれぞれ
チェックしていきます!
2017年11月15日のメール送付行為の判断部分引用と要約
グラクティブとジャヌビアの患者負担額に違いはなく、また、結果的にこの時点では「院内採用」ではなく、「院外採用」の申請にとどまったとしても、M寄附講座教授がグラクティブの院内採用に向けて働き掛けを行った行為については、採用申請の理由をO社が寄附講座へ寄附したこととしようとした点において、第三者が見たときには、広島大学病院が患者の利益よりも O社の利益を優先させているのでないかとの疑念を抱き、その結果、同病院の社会的信頼を低下させるおそれがあるといえることから、M寄附講座教授のグラクティブの院内採用に向けた働き掛けは、利益相反の観点から問題があったといわざるをえない。
広島大学寄附講座等に関する調査会の調査結果より引用
【要約】M寄附講座教授がグラクティブの院内採用に向けて働きかけをしたが、ジャヌビアと負担額に違いはなく、最終的には「院外採用」となった。しかし、第三者から見ると、病院が患者の利益よりも寄附企業の利益を優先しているのではないかとの疑念を招き、社会的信頼を低下させる可能性があるため、M寄附講座教授の行為には利益相反の問題があると指摘された。
2018年3月9日のメール送付行為の判断部分引用と要約
M寄附講座教授は2017年11月ころの時点で、グラクティブを院内採用したいと考え、働き掛けを行っているところ、2018年3月7日にグラクティブが院外採用されたことから、今後の院内採用を見据えてグラクティブの使用量の増加を図りたいという思いがあったのではないかと考えられる。 このような意図の下に送られたメールを第三者が見たときには、広島大学病院が患者の利益よりもO社の利益を優先させているのでないかとの疑念を抱き、同病院の社会的信頼を低下させるおそれがあるといえることから、M寄附講座教授が2018年3月9日付メールを送付した行為は、利益相反の観点から問題があったものと考えられる。
広島大学寄附講座等に関する調査会の調査結果より引用
【要約】M寄附講座教授は、グラクティブの院内採用を目指し、2017年から働き掛けをしていたが、結局グラクティブは院外採用になった。その後、グラクティブの使用量の増加を目指して送られたメールが、第三者からは広島大学病院が患者の利益よりも寄附企業の利益を優先しているのではないかと疑われ、社会的信頼を低下させる可能性があるとして、利益相反の問題が指摘された。
2019年2月13日のメール送付行為の判断部分引用と要約
医薬品の処方についてある程度具体的な内容の依頼を行うものであるといえ、同科の診療科長であったという M 寄附講座教授の立場も考慮すると、前記メールが他のスタッフによる処方薬の選択についての判断にある程度強い影響を与えたのでないかと考えられる。また、上記(3)と同様、今後の院内採用を見据えてグラクティブの使用量の増加を図ろうとする意図があったと考えられる。 そのため、第三者が見たときには、広島大学病院が患者の利益よりもO社の利益を優先させようとしているのでないかとの疑念を抱き、同病院の社会的信頼を低下させるおそれがあるといえることから、M寄附講座教授が2019年2月13日付メールを送付した行為は、利益相反の観点から問題があったものと考えられる。
広島大学寄附講座等に関する調査会の調査結果より引用
【要約】M寄附講座教授は、医薬品の処方について具体的な内容の依頼を行ったメールを送信し、同科の診療科長であった立場から他のスタッフに強い影響を与えた可能性がある。また、グラクティブの使用量を増やす意図があったため、第三者からは広島大学病院が患者の利益よりもO社の利益を優先しているのではないかとの疑念を招き、社会的信頼を低下させる可能性がある。そのため、M寄附講座教授が2019年2月13日付メールを送付した行為には利益相反の問題があると指摘された。
第三者から見て患者利益より
企業利益を優先しているって点が
ポイントですね!
2018年上半期:内分泌·糖尿病内科 薬剤使用ランキング
薬剤名 | 入院使用件数 | 外来使用件数 |
---|---|---|
メトグルコ | 1780 | 3643 |
ジャヌビア | 877 | 1494 |
シェアポスト0.25mg | 828 | 1299 |
テネリア | – | 1085 |
トラゼンタ | – | 1041 |
ミグリトール | 658 | – |
グラクティブ等の処方量の推移
年度 | 処方量(錠) | 院内処方件数 |
---|---|---|
2017年度 | 441 | N/A |
2018年度 (院外採用) | 17,414 | N/A |
2019年度 (院内採用) | 26,366 | 193 |
2020年度 | 26,345 | 1,017 |
2021年度 | 25,592 | 1,049 |
2022年度 | 13,111 | 469 |
急増しているにも関わらず
22年度に処方量が
急減しているのは
ポイントだったりします。
なお売上どれくらいかなーと
気になりましたので
簡単に計算してみます。
院内処方は50mgのみ、
院外処方は50mg錠、
25mg錠、100mg錠の合計ですので、
正確な薬剤費は算出できません。
なので便宜上全て
50mg &2022年の薬価120円で計算した場合
25000錠×120円なので
グラクティブの年間売上は300万円です。
半期150万円なのでMRから見ると
こんなもんか……
という印象ですね。
大学病院としては多いのかもしれません。
寄附講座の延長について
日付 | 内容 |
---|---|
2019年9月20日 | M寄附講座教授は内分泌·糖尿病内科のスタッフ(講師、助教ら5名)に対し、 「グラクティプの院内採用が条件で、寄附の2年延長が約束された」 との内容のメールを送付 |
2020年9月 | O社ほか2社からの寄附により、 本件寄附講座は2年間延長が見込まれる。 |
2021年1月末 | O社から、本件寄附講座延長の寄附を断る旨の連絡があった。 |
2021年4月1日 | 本件寄附講座は、C社及びD社からの寄附により、寄附金額総額4200万円、 設置期間2021年4月1日から2023年3月31日の2年間延長となった。 |
グラクティブの
処方量は21年は微減、
22年に急減に転じています。
21年にO社から延長寄附の断りがあって
処方を増やすのをやめたんじゃ?
って勘繰ってしましますよね!
ちなみに断ったのは21年の1月末ですが
21年の1月27日にO社の社員が
贈賄の疑いで2名逮捕される事件が起こっています。
これを受けて関連しそうな
寄附講座を断ったと予想できますね。
利益相反の判断
このメールに記載されている、O社の本部長に電話をし「グラクティブの院内採用が条件で、寄附の2年延長が約束され」たとの内容は、M寄附講座教授、0社本社のH製品企画部長は、2019年9月20日ころにM寄附講座教授がH製品企画部長に電話をし、寄附の延長を頼んだものの、直ちには難しい等という消極的な回答をしたにとどまり、同日に寄附の延長を約束したことを否定する供述をしていること、O社の社内における寄附の決定手続は、本社営業本部の営業企画推進部の審査、総務部の決裁を経て決められるもので、一社員のみで決められるものでないことなどからすれば、実際には寄附の2年延長が約束されたという状況は認められず、必ずしも事実を表わしている記載とはいえない。 しかし、その内容が事実ではなかったとしても、また、メールを送信した相手方が内分泌·糖尿病内科の少数のスタッフのみであったとしても、このメールを第三者が見れば、広島大学病院の医療担当者は、患者の利益よりもグラクティブの採用というO社の利益、寄附講座の延長という教授自身の利益を優先させているのではないかと考えるはずであり、同病院に対する社会的信用を低下させる行為であるといえることから、利益相反に対する配慮が十分にあったとはいえない。
【要約】M寄附講座教授がO社本部長に電話して、グラクティブの院内採用を条件に寄附の2年延長が約束されたという内容のメールが問題視されている。しかし、O社の社員らが供述したところによると、寄附の延長を約束したことはなかった。このような状況であっても、第三者が見た場合には、病院がO社の利益や教授自身の利益を優先していると受け取られ、病院の社会的信用を低下させる行為であるといえる。
時間外労働に関して
M寄附講座教授が2021年7月5日に、
内分泌·糖尿病内科のスタッフ及び
医科診療医ら宛にメールを送信しています。
この内容が時間外労働を
認めないものではないか?と
当初の通報でも問題視されていました。
送られるメールの要点を箇条書きすると
- 医師の時間外労働において、
限度時間を超える可能性がある医師がいることが報告された。
過剰労働になれば、大学病院に
広島中央労働基準監督署から実態調査が入ることになる。 - 平日の17時以降に勤務しても、それは時間外勤務にはならないが、
19時に患者家族を呼んでICをした場合や、
一旦帰宅したが、病棟から呼び出されてまた仕事をした場合は時間外勤務である。 - 休日においては、病棟に来て回診しただけでは時間外勤務にならないが、
処方したとか、インスリンの投与量を変更したとか、何か指示を出した場合は時間外勤務になる。 - 医師として、入院患者の顔を見に来ることは大切だが、
それはお金のためではないことを心得るように。 - 原則として、平日17時以降、そして休日は勤務ではなく、
病棟にいたとしてもそれは仕事が遅いだけ、医局にいた場合は自己研修という扱いである。 - 7月から正しい勤務時間を提出するように
上記依頼がメールでありました。
ただ、時間外労働に関しては
不当性は認められませんでした!
詳細は以下の通りです。
時間外労働に関して、「17時以降病棟で働いている医師らに『仕事が遅いだけ』と非難するメールを送った」との指摘については、M寄附講座教授が内分泌·糖尿病内科のスタッフ及び医科診療医らに対して送付した2021年7月5日付メールに類似の記載はあるが、M寄附講座教授の真意は、時間外労働に該当する場合と該当しない場合を区別した上で、時間外労働に該当する場合はきちんと申告し、そうでない場合は申告しないようにというものあると考えられることから、文章としてやや不十分なものであったといわざるをえないものの、メールによる通知自体は必ずしも不相当なものではなかったものと判断した。
広島大学寄附講座等に関する調査会の調査結果より引用
【要約】M寄附講座教授が内分泌・糖尿病内科のスタッフにメールを送ったことが問題視されたが、教授は時間外労働に該当する場合はきちんと申告し、そうでない場合は申告しないようにという意図で送ったものであり、メールによる通知自体は必ずしも不相当ではなかったとのこと。ただし文章が不十分だったとも述べられている。
提言:今後の対策
本件を受けて広島大学は
各種手続きを厳格化する対応をしています。
広島大学担当はおそらく
知っておいた方が良いでしょう。
手続きの項目 | 内容 |
---|---|
医薬品の採用に係る手続きの厳格化 | ・新規医薬品の院内採用申請に必要な資料の厳格化 ・申請者に対して利益相反に関する申告書の提出を義務化 |
利益相反に関する研修会の義務化 | ・年1回の自己申告に加えて、新任教員を対象とした利益相反の研修の実施 ・産学連携活動における利益相反の問題を念頭に、すべての教職員を対象とした利益相反の研修を義務化 |
寄附講座及び共同研究講座の設置に係る手続きの厳格化 | ・寄附講座及び共同研究講座の設置に必要な手続きの厳格化 ・申請者に対して利益相反に関する申告書の提出を義務化 |
全体像とまとめ
最後に時間がない方のために
報告書を元に、経緯の全体像を
時系列で表にいたしました!
日付 | 内容 |
---|---|
2017年5月末ごろから9月 | M寄附講座教授(当時は講師)から0社らに対し、寄附講座への寄附要請 |
2017年 11月15日 | M寄附講座教授がR教授宛に送信したメール。 「グラクティブ錠の採用について」という件名で、O社からの寄附金をもとに、ジャヌビアからグラクティブに変更するための理由を考える必要はなく、「寄附講座設立に対するO社の多大なる貢献と、当社の糖尿病薬剤の処方を広めたいため」という理由で薬事委員会へ申請すべきだと提案している。 |
2017年 12月25日 | O社が広島大学に対し、寄附申込書を提出 設置目的は在米日系人医学調査研究の推進および広島県の糖尿病医療体制の構築 設置期間は3年(2018年4月~2021年3月) 寄附金額総額は4500万円(2018年3月以降毎年1500万円の分割寄附) |
2018年 2月21日 | グラクティブの院外採用が承認される |
2018年 3月7日 | グラクティブの院外取扱が開始される |
2018年 3月9日 | 内分泌·糖尿病内科のスタッフ及び医科診療医ら宛に送信したメール。 「糖尿病薬の使用」という件名で、大学病院の外来や外勤先にて、寄附講座の設立に貢献したO社、A社、B社の薬剤をなるべく使用するよう呼びかけている。添付ファイルには「DPP4阻害薬、SGLT2阻害薬」という努力目標が添付されている。 |
2018年 3月20日 | O社から1500万円が入金される |
2018年 4月1日 | 寄附講座開始 他の寄附会社(A社、B社、C社)3社からも入金される 4社総額2400万円(3年間で7200万円) |
2019年 2月13日 | 内分泌·糖尿病内科のスタッフ及び医科診療医ら宛に送信したメール。 「処方薬について」という件名で、当科の2018年上半期の薬剤使用ランキングが通達され、ジャヌビアの処方をなるべく制限し、代わりにテネリアに変更するよう求めている。 |
2019年9年20日 | M寄附講座教授は内分泌·糖尿病内科のスタッフ(講師、助教ら5名)に対し、 「グラクティプの院内採用が条件で、寄附の2年延長が約束された」との内容のメールを送付 |
2019年 12月18日 | 「ジャヌビア錠50mg」から「グラクティブ錠50mg」への院内採用の変更が承認 |
2020年 1月29日 | グラクティブ錠50mgの院内取扱が開始 |
2020年 9月 | O社ほか2社からの寄附により、本件寄附講座は2年間延長が見込まれる。 |
2021年 1月末 | O社から、本件寄附講座延長の寄附を断る旨の連絡があった。 |
2021年 4月1日 | 本件寄附講座は、C社及びD社からの寄附により、 寄附金額総額4200万円、設置期間2021年4月1日から2023年3月31日の2年間延長となった。 |
2022年 11月1日 | 広島大学公益通報窓口にM寄附講座教授に関する公益通報がある。 内容は以下2点 ・M寄附講座教授が時間外労働の申請を不許可にしたこと ・M寄附講座教授が内分泌・糖尿病内科の医局員にO社の薬剤の院内採用と使用量の増加を指示し、見返りにO社から寄附を受けているということ |
2022年 12月13日 | M寄附講座教授の記事がFlashに掲載 |
このまとめが
参考になりましたら
幸いです。