- サーチェインを含む抗老化遺伝子を活性化する
- DNAダメージが少ない環境を作る
上記2点が重要だと紹介いたしました。
んで!くそ頭使ってしまったわ!
アンタもっとわかりやすくしなさいよ!!
重要な要素は紹介しましたが、具体的な実践方法については全く触れておりませんでしたので、
今回の記事では老化と戦うために何をするべきなのか?ということを紹介していきます。
本記事では
・老化を食い止める物理的ストレスの与え方。
・老化を防ぐためのDNAダメージが少ない環境作り。
上記3点を紹介しています。
サーチェインを含む抗老化遺伝子を活性化する
サーチェインを含む抗老化遺伝子を活性化するためには適度なストレスが重要であることがわかっています。
具体的には
- 栄養面のストレス
- 物理的なストレス
この両面のストレスが重要であることがわかっています。
栄養面のストレス
- 満腹を避ける
- 間欠的な断食
- 過剰なアミノ酸を避ける
栄養的ストレスを与える方法は上記3点です。
満腹を避ける
30%ほど、摂取カロリーを抑えるとサーチュインが活性化し、寿命が伸びることがわかっています。
少し古い話ですが、2000年前半まで沖縄県は日本No1の長寿県でした。
この時の沖縄は本土と比べて摂取カロリーが2/3であったことがわかっています。
また2009年にアカゲザルを用いた実験でカロリー制限が発病と死亡にどれだけ影響を与えるか検討がなされています。
左側が、好きなだけ食事を取らせたアカゲザル、右側がカロリー制限を行ったアカゲザルです。
毛並み、顔の力強さ共に右側が圧倒していますね。
間欠的断食
断食も理屈はカロリー制限ですので同じです。
研究されている断食はいくつかありますが、現状では最も効果のある方法はわかっていません。
非常にザックリいうと、栄養失調にならない程度の断食ならば長寿遺伝子を働かせるのは間違いない様です。
効果があるとされている断食方法を3つ紹介します。
16:8ダイエット
16時間断食をして、残りの8時間は好きなものを食べてOKな断食方法です。
断食時間の16と残りの時間の8から名前をとっていますね。
イメージとしては朝食を抜いて遅い昼食をとる感じです。
13時に昼食、21時までに夕食を済ませて、その後は翌日の13時まで何も食べなければOK!!
これは計算もなく非常に楽な方法ですね。
MRの昼食は13時以降がほとんどなので、MRにはかなり実施しやすい方法ではないでしょうか?
5:2ダイエット
1週間のうち2日間を断食日に設定する方法です。
5日の通常日と2日の断食日から名前をとっています。
断食日はカロリーは通常の4分の1程度に抑え、残りの5日間は普通の食事でOKです。
これで週あたり21%程度カロリーをカットします。
健康成人だと500kcalくらいに制限するイメージかな?
おにぎりのカロリーが180kcalくらいなので、
- 朝食おにぎり1個+スープ
- 昼食おにぎり1個+スープ
- 夕食おにぎり1個+スープ
ってのを週2日やれば男性なら行けます。
最初は計算するのちょっと面倒かな?と思いましたが、
コンビニ使えば十分に実現可能ではあるし人によっては週2回と割り切れていいのかもしれません。
イート・ストップ・イート法
イート・ストップ・イート法は週2-3日の断食を行う方法。
5:2ダイエットのより厳格な方法。
食べないだけ!以上!!
2日食べないので2/7=28.5%のカロリーを抑えられるっていう計算ですね。
なお断食はビタミンミネラル&水分を取りながらちゃんと調べて行ってください。くれぐれも無理は禁物です。
最初に紹介した通り、サーチュインを働かせるには“栄養失調にならない程度の断食”で十分です。
アミノ酸を制限する
アミノ酸を制限することも重要です。
関連するのはサーチュインではなくmTORという遺伝子です。
mammalian Target Of rapamycin:哺乳類のラパマイシン標的タンパクの頭文字です。エムトアとか呼ばれます。
ラパマイシンはマクロライド系抗菌剤で、その名の通りラパマイシンが標的とするタンパクということから命名されています。
mTORもサーチュインと同じくDNA転写、翻訳の制御、細胞サイズや筋肉サイズの制御、オートファジーの制御なんかを行っています。
ただ、こいつは老化に関しては負の制御をしています。
mTORが活性化すると老化が促進してしまうと訳です。
実際マウスではラパマイシンを投与してmTORを阻害するとマウスの寿命が伸びることがわかっています。
2009年の論文ですが、老衰で死にかけているマウスにラパマイシンを投与すると雌でで14%、オスで9%寿命がのびました。
そんなmTORですが、アミノ酸はその活性を上げてしまいます。
え、アミノ酸は大切な栄養なのに老化させちゃうの?って思いますよね。
そこには、その機能が関連しています。
先ほどmTORの役割をDNA転写、翻訳の制御、細胞サイズや筋肉サイズの制御、オートファジーの制御と紹介しました。
そう細胞サイズや筋肉サイズの制御…ここがポイントです。
筋肉発達の時にmTORの活性が不可欠なんです。
筋肉合成が必要な場面ってめちゃくちゃタンパク質を合成しなければならない場面な訳で、そうなるとDNAをヒストンから紐解かなければ転写を行うことができません。なのでmTORはヒストンへの巻きつきを弱めて沢山タンパク合成を行う訳です。
ただ、やりすぎてしまって、ヒストンへの巻きつきを過剰に緩めてしまった場合は老化に繋がる訳です。
通常ですとサーチュインが制御してやりすぎを防ぐのでしょうが、サーチュイン活性も下がっている場合は、遺伝子転写の混乱に繋がり老化に繋がります。
特にメチオニン、アルギニン、BCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)が特に活性化することがわかっています。
BCAAはトレーニーではサプリメントでとっている人も非常に多いですよね。
となると筋トレなんかしない方がいいの?って疑問をもつ方もいらっしゃると思うのですが、
運動自体にもサーチュインを活性化する効果がありますし、メチオニンとBCAAは人体で合成できず摂取が必要な必須アミノ酸です。
筋トレとアミノ酸摂取によるメリットも当然ありますので、悪い訳ではありません。
どこまでやったら悪いのか?という問題も論じるのは困難です。
アミノ酸と老化関連だと加工肉(ソーセージハムベーコン)の方が気を付けるべきです。
個人的にも加工肉は美味しいけど食べない方が良いです。
加工肉はNDMAを始めとした発がん性物質が多いことがわかっており、
実際、フィンランドの研究ではNDMAの摂取とその後の結腸直腸癌の発生との間に有意な正の関連が観察されています。
発がん性物質はDNAに損傷を与えることで発がんを促してしまいます。
この時、サーチュインタンパクが発動し修復が行われますが、その間は他の部分の制御が適当になってしまい、それが老化に繋がることは前回紹介した通りです。
あと言いにくいんだけど、漬物も多いらしい…
それは許せ!!
物理的ストレス
物理的ストレスの与え方は3つです。
- 運動する
- 適度な寒さに身を晒す
- 適度な高温に身を晒す
運動する
これは感覚的にも一般的にもわかっていることですよね。
運動そのものがサーチュインを始めとした抗老化遺伝子を調整します。
ぶっちゃけ、紹介するまでもないことですが、最も効果的に遺伝子を刺激する方法は
HIIT(高強度インターバルトレーニング)だとわかっています。
低温で褐色脂肪細胞を鍛える
低温状態に体を晒すこともサーチュインを活性化する可能性があることがわかっています。
人体では背中などに多く存在する褐色脂肪細胞という細胞があります。
脂肪という名前はついていますが、実態は脂肪を燃やすエネルギー産生細胞でして、多くのミトコンドリアを含んでいます。
そしてこれは寒さで増えることがわかっています。
実際に実験もされていまして、19歳から23歳までの5人の男性を4か月間の間、19℃から27℃の間で変化する個室で眠らせたところ。
19℃群が褐色脂肪の量と活動を増加させ、27℃群が脂肪細胞の増殖を抑制することがわかっています。
参考:Cold exposure stimulates beneficial brown fat growth
そして褐色脂肪細胞のミトコンドリアを活性化しているのがサーチュインの一つであるSIRT3なんです。
SIRT3は寒さで活性化し、ミトコンドリアの活性上昇を介して褐色脂肪細胞の活性を上げることがわかっています。
サウナで高温に晒す
高温に身を晒すこともサーチュイン活性を上げ,老化や病気を防ぐことが期待できます。
実際、ライフスパンで、デビット・A・シンクレア博士が真核生物である酵母を高温に晒すとサーチュイン酵素の活性が上昇し寿命が30%のびたと紹介しています。
また高温に身を晒すといえばサウナが思いつきますが、
サウナと病気の関係はフィンランドで中年男性2300人を対象にした研究が有名です。
2300人を約20年追跡したところ頻繁にサウナを利用する人と週1回サウナを利用する人では心疾患や全死亡が約50%低下することが確認されています。
参考:Association between sauna bathing and fatal cardiovascular and all-cause mortality events
また前向きのコホート研究でも効果が確認されていまして、
1688人の参加者(平均年齢63歳,範囲53〜74歳,51.4%女性)でサウナの使用頻度と期間と新血管イベント死亡率の関係を調査したデータも出ています。
先ほどのデータと違いこちらは女性もエントリーされています。
左のグラフが頻度、右がサウナに1週間あたり入る時間を示しています。
回数が増えれば増えるほど、新血管イベントのリスクは低下していますし、時間が長ければ長いほどリスクが低下していることがわかります。
それでこれだけ影響があるのですから正直驚きです。
この様に高温に身を晒すこともサーチュイン活性を上げ,老化や病気を防ぐことが期待できます。
DNAダメージが少ない環境をつくる
DNAダメージが少ない環境づくりに関しては既に少し紹介してしまったので手短に紹介していきます。
DNAに損傷はサーチュインタンパクが発動させ修復を行わせます。しかし、その間は他の部分のサーチュインによるDNA転写制御制御が適当になってしまい混乱し、それが老化に繋がります。
これを防ぐためにはDNAダメージが少ない環境が必要です。
具体的は
- 発癌性物質
- 紫外線
この2点を徹底的に避けてください。
発癌性物質は、前述の通り、タバコ、加工肉、塩漬け食品を避ける。
紫外線は外出時に日焼け止めを塗ってください。
海に行かない普段使いでしたらSPF30 PA+++位の製品で十分です。
SPF30でも日焼けにかかる時間を30倍に伸ばしてくれます。
つまり受ける紫外線量は1/30ですので97%以上の紫外線をカットしてくれます。
SPF100とかの製品は1/100とさらに減らしてくれますが、その分肌に影響の強い成分も入っていることが多い為、日焼け止め自体がダメージになりえます。
- SPF30:紫外線量97%カット。肌に優しい製品が多い
- SPF100:紫外線量99%カット&直接ダメージ
という関係です。
超紫外線が強い海で短時間使う場合を除けば、ほとんどのケースでSPF30に優位性があるでしょう。
あとがき
老化を抑えるための生活習慣として
- 老化を食い止める栄養的ストレスの与え方。
- 老化を食い止める物理的ストレスの与え方。
- 老化を防ぐためのDNAダメージが少ない環境作り。
上記3点を紹介させていただきました。
ぜひ新しい週間に取り入れてみてください。